「僕は日本に生まれたかった」紛争、貧困、小さな幸せ……。そんな日常のなかで、「日本が好き」と語る人々が教えてくれたこと――。

《「車が故障したから直してくれないか」「パソコンの調子が悪いから見てほしい」といった注文が何度も寄せられた。私は車やパソコンの修理などまるでできないので、これらの依頼を鄭重に断ると、「君は本当に日本人か？　中国人じゃないのか？」と言われる始末であった》
《「日本人はヒグチのことをあまり知らないのですか？　それは本当ですか？　日本人は学校で何を習っているのですか？」クララさんの言葉が、戦後日本の核心を一気に突いた》
《「日本か。素晴らしい国なんだろうな。まるで夢の国みたいだ。行ってみたいけど、僕には一生、絶対に無理だな。世界は不公平だね」》
（本文より）

世界中を自分の足で歩き回り、路地裏の人々とふれあった著者。各国の人々の目に映る「憧れのニッポン」像から、日本人が知らない「世界と日本」が溢れ出す……。心が温まり、そして深く考えさせられる、感動の紀行エッセイ。

【目次】より
●第1章 満洲──日本人が掲げた理念の風
●第2章 モンゴル──世界史の中の不思議な繋がり
●第3章 ルーマニア──「僕は日本に生まれたかった」
●第4章 チェコ・ポーランド──救われた生命、奪われた生命
●第5章 バルト三国──一枚の色褪せた「日の丸」
●第6章 旧ユーゴスラビア──コソボの「ワールドカップ」
●第7章 トルコ・シリア──時を越えた恩返しとトウモロコシ
●第8章 イラク──一国平和主義は卑怯で、みっともない
●第9章 イスラエル──ゴールデンブックに刻み込まれた感謝
●第10章 サイパン・パラオ──日本流委任統治の光芒
●第11章 フィリピン──天使たちの町に残る特攻兵の面影
●第12章 台湾──なぜ、この地は「美しい島」なのか

世界三大料理の地、トルコで居酒屋放浪。グルメ国レバノンで味わう美食。モロッコの宿で教わるクスクス。エジプトで愛される炭水化物料理。イエメンの男たちが集う大衆食堂。イスラエルで出合った天才シェフ――。著者が中東各地で味わった様々な料理や食のエピソードを、写真とともに綴る紀行エッセイ。日本の家庭で作れるオリエント・グルメレシピも多数収録。

★彼に何か重大な秘密があるとは思ったが、そんなに根深い、恐ろしい秘密だったとは！★
イスラエルの若い女性デボラは、旅行者だったアメリカ人男性と運命的な出会いをし、激しい恋に落ちた。彼は大富豪の御曹司テッド。自らも銀行家だ。ユダヤの伝統に基づき、彼はダビデの星のもとで、デボラを真剣に愛し続けると誓い、二人は婚約した。ところがしばらくして、彼から一方的に別れを告げる手紙が届き、わけもわからずデボラは奈落の底に突き落とされた。おなかには、すでに二人の愛の結晶が宿っているというのに……。何度も連絡を取ろうとしたが、テッドは電話にも出てくれない。それで彼の妹の結婚披露宴という機会をとらえ、デボラはテッドに妊娠の事実だけ告げた。彼はそれを聞くと青ざめ、その場に倒れそうになった。いったい、彼は何を隠しているの？