離婚を決めたパパとママ。二人とともに、車で名古屋に向かう主人公・麦と弟の大地。
麦は、両親の離婚の原因が知りたいけれど聞き出せない……、それに加えて、けんかをしている仲良しの友達のことが頭から離れず、モヤモヤとした気持ちを抱えながら、渋滞の車中を過ごす。
車中では、渋滞によってイライラがつのるママと、楽天的で先を読まずに発言してしまう明るいパパが言い合いを続けている。でも、それは昔からのことで、仲が悪いとはちがうのでは……と、麦は感じていた。
渋滞回避のため、高速をおりて山道を走るなか、休憩のため外に出るが、ママがインロックをしてしまい……。
閉塞感のある渋滞の車中だからこそ生まれる団結力によって、家族の絆が再認識されます。家族のこと、友達のこと……やり場のない気持ちにどうしようもなくなっても、前を向いて進めば解決策が見えてくる――多感な時期にさしかかる少女の心の成長を描いた生き生きとした物語。

会うときはいつも雨。でも、それは幸運の印かも……■未婚のまま妊娠し、臨月を迎えたマディは、おなかに痛みを感じて、雨の降りしきる渋滞の高速道路に降り立った。陣痛が始まっている。このままでは間に合わない。「赤ちゃんが生まれそうなの。バイクで病院まで送って！」マディはバイクを積んだトラックに近づき、声をあげて頼んだ。トラックを運転していた男は、マディの窮状を見て取ると、即座に無事病院に送り届けた。ジョシュア・ブラックウェルは、まさに白馬に乗った騎士だった。「このお礼に一年間毎週食事を作って届けるわ」マディはとっさに申し出た。どうしても感謝の気持ちを表したかった。だが一カ月半がたち、彼女が約束の食事を持っていくと、ジョシュアは礼儀正しく、断固とした態度で申し出を辞退した。だが、マディが軽い気持ちでキスをしたとき、意外にも、この堅物は情熱的に応えたのだ！