レビュー一覧

三井という男を、一人の人格として見たら、情状はあっても酌量の余地はないクズ(加害者)である。だが、一つの象徴として見たら、ホモフォビアな社会の被害者とも言える。そして、愚行を犯しても、自らの正当性を主張することが第一という「男性社会」の体現者であり、その社会に育った常識的な男性が「男性性」を脅かされることに抱く恐怖感と、それに端を発する嫌悪感の体現者でもある。一方、虐げられる者が持つ強かさと、真理を見抜く賢さを備え、すべてを愛に料理できる曽根。非凡なる包容力が救う(変える)のは、三井という名の社会なのかも。普遍的で意義深いお話なので、広く読まれるといいのにな。

星5必須、お勧めです。何度も読み返してます。特に最終話で三井が「ヘテロの男役」を手放せたところ…気付いた曽根がありのままの三井を抱こうとするシーンは泣けます。もう、早くシーツ買って来てっっ！！自己否定からの人生の苦しみをひたすら見せつけられたトリガー前後編は（多感な少年期に普通を植え付けられる過去編も）読んでて辛かったけど、後日譚でどん底を支える曽根が本当にいいキャラで救われました。何もかもから逃げ出しそうな危うい三井をはんぺんで現実に引き戻すところとか、超リアリストな強さ（笑）弱さの象徴に見えたのは恋愛分野だけだったのね。引き換え三井はセクシャリティを認めても、金もないのに娘に贅沢させたり…本当の自分を見せられないせいでこの先もう少し苦労しそう。でもこの2人は大丈夫だよね。曽根の「好き」に三井が「俺も」っていう漫画、読みたいです。

この作品はお若い方にとってこの主人公で理解し難いかも？。単にクズ男の痛くて病んだ話しではなくて、このクズ男の救済物語なんですね。男らしさに頭ばかりでこだわってるプライド高い攻めが、男しての責任に押しつぶされてストレス爆発、受けに暴力を振るって発散という情けなさなんですが、本当に自分を愛し叱り全てを受け入れてくれる受君と結ばれて本来の自分自身を見つけて成長、落ち着いていくドラマなんですね。これからリバとなるでしょう。攻めは愛するより愛されたいんだから色々と。お互いがお互いを支えあう良いカップルだと思う。これからは男らしさより人間らしさを高めて欲しいですね。

作者さんの絵柄が好みだったので　どの作品から読もうかと迷っている時、新刊で見つけ購入しました。面白かった。三井のクズっぷりは救いようがないけど、こういう男性見たことあったのでリアルでした（笑）エリートなんだけど、人間として大切なものを知らずに生きてきた可哀想な三井だったけど、挫折と引き替えに大事なものに気付けて良かった。曽我も女々しい男かと思いきや、男らしくてホッとしました。ずっと耐えるのかなと想像しながら読み進めていたら、なんのなんの。我慢の限界で取った行動にスカッとした！｢漢｣でしたよ。

これはね、、本当に何回も読み直しました。本当の自分を認められない。認めたくない。でも認めて欲しい。受け入れて欲しい。そんな叫びが聞こえてきました。

最低な気分で読み終わりました。シークレットゲイだとしても、相手を脅して乱暴して人間の尊厳まで貶めるようなひどい行為はまったくもってクズ以外のなんでもなかった。奥さんもこいつの本質見抜いたから別れたんでしょう。受け（後にリバ）がそれでも許す心がわからない。評価高いですが、ゲイの根幹に苦しむ姿と、人として最低限な生き方は違うと思います。反省もしてないのが、わからん。

お洒落な表紙に期待して購入してみましたが…う〜ん、私にはそれほど良いとは思えませんでした。まあ、わたしが如何なる理由があれ暴力行為が大嫌いなことが一番大きいのですが…。私には無償の愛(？)を捧げる受けの気持ちがよく分かりませんでした。あの暴力が、彼自身が自分を肯定するためには必要だったとか、綺麗事は言いたくないです。しかもハッピーエンドにはなったんだろうけど、攻めはこれからもずっと元嫁に言われるままお金を出し続けていくんだろうし、二人の将来は大丈夫なのかなあとかグルグル考えてしまい、読み終えてもすっきりしませんでした。

評価のわかれる作品だと思いますが、個人的にはよかった。ゲイである自分自身を受け入れるのに、これだけの葛藤があるんだと…三井は曽根に対して本当に酷いし、つらいシーンもあります。でも過去を読んだら、ひたすら同性を想う自分を否定してきた三井に、人を愛するのに性別なんて…と、使い古された言葉をかけたくなりました。つらいシーンも多かったぶん、幸せな２人のシーンをもっとみたかったな。

攻めがクズいな〜というのと、受け側がちょっと不憫すぎてある意味コレもダメ男の一種だなぁという感想だったのですが、最後で大逆転です。最後の展開を踏まえた続編があれば絶対に読みたいです。

いっそ清々しいほどのゲスっぷりを見せてた攻めの、人生の拗らせ具合を追ったストーリーでした。最後は笑顔。続編があればリバるのかな。受けの器の大きさに、ほろりとさせられました。