レビュー一覧

紹介文からは想像しなかった内容で、いい意味で裏切られました！ヒロインは男爵令嬢といっても10年もパン屋で働いている28歳のオールドミス、ヒーローは戦争捕虜のアメリカ人で、人間の尊厳が無視された牢獄で出会います。このヒーローは貴族でも放蕩者でもありません。でも、誠実で、ユーモアがあって、働き者です。ヒロインは現実的で、諦めの境地で生きてきましたが、ヒーローに出会ってから自分の気持ちにまっすぐ向き合い、乙女心も共感できるものでした。独立戦争や米英戦争なんて日本人には馴染みがないけれど、その頃の一般の人々の暮らしぶりがよく描写されていました。謎解きもあり、最後の最後までどうなるのかハラハラでした。周りの人たちも魅力的。強いて言えば、エピローグでその後の二人が見たかったけど星は5つです(o^^o)

評価が高かったので期待し過ぎてしまった？設定が面白いので前半は楽しめましたがロマンスとしてはごくごく単純に二人は結ばれます。あと困難はなぜそこまで目の敵にするのか根拠のわからない(実際ヒロインもそう言ってる)悪役に命を狙われるのと、ヒーローが仮釈放中の捕虜だという事。これが中だるみというか、まわりの人々のどんでん返しはあるもののロマンスものとしては物足りない後半でした。ここに二人の気持ちのすれ違いなんかを絡めていたらもっとハラハラドキドキできたのに、残念。

ヒストリカルと言っても、華やかな社交界や恋の駆け引きなどは出てきません。身分や国境を超えて誠実に愛し合う人たちのお話です。逆境において、つい卑屈になったり傲慢になったり、そういう気持ちを抱いてしまった自分ときちんと向き合おうとするヒーローとヒロイン。自分勝手な思い込みで相手を振り回したりせず、常にお互いを思いやる二人。華やかなおとぎ話としてのＨＱを期待されている方には物足りないかもしれませんが、私はこの作家さんが描く地に足がついたヒーローやヒロインが大好きです。また、そういうキャラを引き立たせるエピソードがさりげなく散りばめられていて、読んでいて楽しいです。終盤、もうちょっと話を詰めてほしかったと思うところもありましたが、充分満足できる内容でした。あと、他の方も書かれているように、幸せな二人のエピソードがあればもっとよかったと思います。

華やかなリージェンシーではありません。地味と言えば地味ですがハラハラドキドキは期待を裏切りません。10年も諦めと羞恥心によりいろんなことに背を向けてきたヒロインがヒーローとの出会いにより前向きになっていく様子が素敵でした。終盤まで謎がちりばめられていて飽きません。伏線が至るところにあって「あぁ、あれはこういうことだったんだ」となるので、丁寧に読むことをお勧めします。

歴史小説は大好き。またロマンス小説なのに、歴史の伝導の意図も伝わり、戦争の悲惨さの裏で、もしこんなロマンスがあったのなら、と慰められる気持ちで読み終わりました。きっと戦争と言う狂気の中、過酷な中でも人は愛を育む事が出来ること、正しい事をしようもした人が沢山いた事も、未だ戦争をやめられない人類の中にあり、ロマンス小説の中にも一石を投じているのが素晴らしい！

父親が死んで家が没落してもパン屋で働いて頑張るヒロインは素敵です。ヒーローとの出会いはまさに運命だったのでしょう。

苦労して懸命に働いているヒロインに共感が持てます。運命的にヒーローを助けて、堅実に二人で助け合って生きていく所が素敵です。