レビュー一覧

JET先生がコミック化した『美女と野獣?』、荻丸雅子先生がコミック化した『プライドと愛と』の関連作でマスターソン家の末っ子ザックが主人公の話です。今作は原題の“A Man of the Land”より邦題の方が良かったですね。この話は確かに主人公2人が「ほんものの我が家」を見つける内容だし、犬も最終的には「ほんものの我が家」に落ち着けたし、ついでに悪役も「ほんものの我が家」で一生を過ごすことになったし(笑)、ピッタリな題名です。

ヒロインのちょっと地味さが先に目立った作品でしたが、芯の強さ律儀さがヒロインの澄んだ目に現れてて、藤田先生が描かれる物は目で語るなぁと改めて思いました。

さわやかな雰囲気でした。ほとんどの作品を拝見していますが、今回の作品は珍しくというか、女性がそれほど官能的ではありません。もちろん美人ではあるんですが！清廉な美人で嫌味もなく、芯が強くて好みでした。それに、藤田先生のお話はやはり絵の魅せ方が素敵です。土煙の混じった風の匂いがしてきそうでした。ページの都合もあるのでしょうけど最後の盛り上がりがもっとあれば、と残念なので★４つです。

藤田さんの作者買いです。現代文明から離れたところで生きて来た女性という事で、無垢で透明感があるけれども根っこの所はタフなヒロイン像は、藤田さんの絵柄に合っていると思います。十年以上も放置されて荒れた家が、彼女の目からは素晴らしい宝の山に映るのが、とても面白く感じました。生活力ってのはこういう時に物を言いますね。結び付けられるのを嫌い、漂泊するように生きて来たヒーローが、赤ちゃんと微睡むラストシーンが印象的です。ストーリーはきちんとあるのですが、何故かとりとめがなく、何処に感情移入したら良いのか決めかねている内に終わってしまいました。うーん、犬目線が一番しっくり来たような（笑）。一つ一つの要素は魅力的なのに、全体としてはボヤケている不思議な作品です。

これこそ運命の出会いってやつですね。そこに住むつもりもなく処分のためだけに来たヒーローが、継父から逃げてきたヒロインと出会い、最初はベッドだけが目的だったヒーローも、気がつけば結婚を考えてたり。にしても、最低な継父だなー。グッジョブなのは犬？（笑）正当防衛が認められたって当たり前でしょー！ご主人様が目の前で襲われてるから助けただけだもん！

藤田和子さんの作品は大好きで読んでいます。安定の読みごたえで、楽しく読めました。ただ、あっけなく終わったなという感想です。

なんだか浮世離れしたヒロインだけど、純粋な分とても強い。自分の可能性を信じて自由を求めるヒロインに、まるで正反対のようなヒーロー。二人の心情の変化がうまく描けています。

古い生活様式の共同体は男尊女卑を克服するツールになる文明の利器が使えないから、力のある男性が優位になりやすい。しかし、そこで地に足をつけて生きてきたヒロインが「独立」目指して逃げ出し、新たな我が家をみつける。不思議な雰囲気のお話しですが、素敵に絵がマッチして良かったです。

めちゃくちゃよかったです。閉鎖コミュニティから逃げ出したヒロインは純粋で清楚で。ヒーローの頑なな心も開かれてゆく。絵がぴったりでした。

アーミッシュ的なヒロインが、私にはちょっと受け入れにくかったけどそれぞれの譲れないものを譲り合い相手を受け入れるということに意図が集約されていて納得できました。