レビュー一覧

もうただひたすら切ない、愛し愛されたかった少年二人の恋です。ミスター・シーナ~シリーズにこの二人の本作以後のこれまた切ないお話がありますが、本作だけでも問題なく読めると思います。けがれた自分を捨ててただただ清らかになりたかったジョナサン。真っすぐで美しく健全な精神の持ち主であるナサニエルに惹かれますが、そんな純粋な恋心もジョナサンにとっては捨てなければならない自身のけがれの一部だとして、次第に追い詰められていくのです。ジョナサンの秘密を知る男の登場で事態は思わぬ方向へ。ジョナサンの父の手紙のあたりから要ティッシュ。その手紙によってジョナサンは真実に目を向けるようになります。衝撃のラストではありますが、最後に彼は救われたんだと思えるようにはなっているんじゃないかな。

不幸な生い立ちに負けずに懸命に生きる少年達の、再生の物語。ラストは受け取り方次第で、人によって違うと思われるが幸せを信じていたい。

苦しくて読み返すのに躊躇する。切なく必死な思いに何度も心が締め付けられました。

若さ故の不器用さと脆さ、美しさが詰まって生まれた悲劇の物語。「泣けるBL」としておススメされて読みましたが、「ミスター・シーナの精霊日記」を読んでからの方がいいかもしれません。後に応募してもらえた冊子に、少しだけ後日談があります。

なんというか、救いのない話に思えました。寝る前や心が弱ってる時には勧められません。周囲の人達が善良で主人公のことを助けたいと思っていたのに、それが彼に届かなかったことが残念です。

せつないわ！読了後の心に穴のあいたこと！２人の幸せが見たかったぁ〜、許すって言ってるのに許さないと言われたいのかと、混乱してきて、その後ですよ！作者買いですけど、こんな終わり方はあんまりよー！あ、でも話は面白かったです

書籍で持っています。藤たまきさんの作品は、ほのぼのとした絵柄にうっかりソフトな内容を予想すると、とんでもなく心をえぐられる、ハードな内容だったりします。ホライズンは、ミスターシーナのスピンオフなのですが、ものすごく痛い。愛して、大切に思っていても、護りきれなかったナサニエル。進む光をやっと見つめたジョナサンの、けれど進めなかった切なさ。涙なくしては読めないストーリーでした。中途半端なご都合ハッピーエンドではないから、この人の作品が好きなんですよね…。

ミスター・シーナのシリーズに2人の行く末が載っていますが、本作だけ読んでも問題なしです。というか、こちらを先に読んでからミスター・シーナで読みたかった気がします。切なくて物哀しい雰囲気の話が読みたい方にはお勧めです。

イギリスの神学校に通う二人の少年、ジョナサンとナサニエルの話です。ジョナサンは清いものへの憧れから自身に内在すると思っている汚さから逃れようとします。そこには、汚さを隠すことで人から愛されたいという願いがあります。ナサニエルは真剣に愛することのできる誰かを求めてジョナサンに愛を与えますが、ジョナサンは自分自身への強烈な嫌悪から受け止めることができません。ナサニエルの師匠の「本来告白は神に、自分自身にしてからでないと人には話せない」という言葉が重いです。結末は苦いですが物語の最後、ジョナサンの勇気と決意に胸を打たれます。