レビュー一覧

とある理由から女装をしているヒーローと，そんな彼に仕えるヒロインとのお話です。ただただ穏やかに進むだけの話じゃなく，いろいろ戦いがあって読み応えがありました。

いわゆるオネエとアレコレっていうのが苦手なのですが、そうではないみたいなので購入してみました。ヒーローの不憫さが想像以上で、このけなげでタフなヒロインになんとか救って欲しく読み進めていく感じでした。王女として育ってますからヒーローとしてはびっくりするほど何もできません。ヒロインのピンチに駆けつけて密かに訓練していた剣でズバッと助けるってこともしません。それも新鮮でよかったです。

女装男子ものや、オネエ口調の作品は軽いノリのBLとかTLが多いので、嫌厭してましたが、この本は読んでみて意外と面白かったです。女装になってしまった理由が、結構重たい理由でしたし、幼い頃から女装なので男らしくヒーローがヒロインも助けられず、ヒーローのキャラの一貫性があって良かったです。そんな複雑な背景のヒーローだからこそ、平凡で明るいだけご取り柄の、貧相なヒロインが最適なのかなー、と思いながら読みました。恋愛に関しては…うーん、好きになるきっかけと執着するまでの展開が急激な印象があります。でも、それを超えるキャラの作り込みでしたので、星4つで。

実はもうストーリーを覚えていないくらい前に借りていたので、久しぶりだな〜と読み返してみたら、こんなにかわいそうなお話だったなんて！と、驚いてしまいました。すっかり忘れてしまってました。ほんとに、女装させられてた王子の境遇がかわいそうで、マジに糞な親父の父王の野郎は死ねばいいのにと、思ったくらいです。ヒロインが本当に可愛い子で、最後の最後に幸せになってくれて、涙が出そうでしたよ。これから先の人生に、１つの不幸も起こりませんようにと、願って読み終えました。

　アリシアが本当は男性なのに周りの都合で女性として生かされ、母の命日には殺されそうになったり、誰も信用できない状況の中で生きている彼の孤独感、未来の見えないやるせなさや漂う不安など、心揺さぶられました。アリシアとは全く違う環境で育ってきた家族の愛情に育まれていたコリスが彼をどう受け入れるんだろうと思って読んでて、彼を心から受け入れる過程が強引じゃなく、すんなり読めたので良かったです。　先の読めない状況で最後は二人一緒に幸せに暮らせるようになって良かったし、面白い作品でした。この作家さんは他の作品も読んだことあるのですが、時に見せる人間の仄暗い感じにちょっとドキッとさせられます。　

ヒロインを手に入れて病んでいくヒーローが悲しくも美しい。ソーニャらしい気持ちの閉塞感にやられました。イラストのお陰か、ストーリー紹介のせいかもっとライトな感じに勝手に想像しましたが、良かったです。

なかなか珍しい設定で、どこまで騙せるのかって思ったけど、種明かしは意外と早かったです。まあ、そうじゃないと、二人の恋が発展しないんだけど…。王女(王子)様が不安から執着系になっちゃうのは、生い立ちから理解できるけど、ヒロイン兄の結婚式は行かせてあげて欲しかったですね。王妃すら可哀相に思えるほど、王は最低最悪のひとでした。二年かかってやっと未来が語れるなんて…二人が幸せで良かった。

キャラ作りがとても上手いと感心してしまいました。それぞれのキャラの初回登場シーンは文字だけなのに、初めて会った人の姿や仕草からその人の人柄を読み取ろとするようなそんな感覚に近いとさえ感じてしまいました。

ティーンズラブ小説の中で、ここまで過酷な人生を歩んできたとかあまり無かったので、驚きはしましたが、かえって新鮮というか斬新でよかったと思います。

主人公がけなげで、ヒーローはひねくれまくりです。最初はヒーローが嫌になるくらいひねくれていました。ひねくれ好き（？）にはいいと思います。