レビュー一覧

萩尾望都は初期の作品の素晴らしさもある（個人的にはこちらからファンでしたので、大ファンです）が、最近のものはジャンル的に多面的になっていて、天才ぶりが遺憾なく発揮されていると思います。こちらは扱いが心理学という分類になるのではないのでしょうか。ジェミニの心理と取り巻く人々の心理の変化が丁寧に描かれています。偉大な対策だと思います。

以前、読んだときは、難しくて、ジェルミとイアンそれぞれの苦しみや後半のイアンと立ち直っていく過程がよく分からなかったのですが、親の虐待を認識してから読み直したら、とてもよく分かりました。途中、フラッシュバックで辛く、泣いてしまい、読むのを何度も中断せざるを得ませんでしたが、最後の方はジェルミやイアンと一緒に救われた涙を流すことができました。そして、萩尾先生ご自身もご両親との関係に長年苦しまれたと知りました。この作品の産みの苦しみは想像を絶します。こんなに心が震わされ、浄化された作品は他にはありません。この作品を生み出してくださり、本当にありがとうございました。

萩尾望都先生の大作を無料で読んでしまっていいんですか！？今までの自分の世界観が変わる作品だと思います。世の中何があってもおかしくないんだなと。私は残酷な神が支配するを中学生のときに読みましたが衝撃を受けました。（中学生に読ませてはいけません。）みんなに読んでもらいたい漫画とは言いません。ただこの本では想像以上に残酷な神が支配しています。萩尾望都先生の大ファンより

本当に残酷で悲しい話です。こんなひどい出来事がこの世にあっていいのでしょうか？夜読んだら、あまりの衝撃に眠れなくなってしまいました。

面白かったです。愛とは何か、欲望か、暴力か、幸福か。親から受けた傷、自分の犯した罪に苦しむ主人公と救いの手を差し伸べるも主人公の闇に巻き込まれる義兄の物語です。もともとやおいが好きなんですが、これはファンタジー要素の強いご都合主義のやおいと違って、すごく重いです。それゆえに、主人公や義兄のモノローグ一つ一つを何度も読み返したくなります。それでいて、ジェルミの精神的な危うさが放っとけなくて、友情と恋のギリギリの境界でつきあうウィリアムには、現代のやおいに通じるものがあります。原型というか。やおい好きの人がドキドキする設定。写真を見ながらベッドで義兄とキスするシーンは、最初の無垢で元気な主人公からは想像もつかない色っぽさでした。テーマが重く、悲しい話ですが、ファンタジーになる前のやおいの原型を読んだ充足感があります。

萩尾先生なので絵や構図は綺麗。義父から性的虐待を受けた主人公がその後の人生を狂わせる話です。読後の後味はとても悪いです。最後まで救いがないというか、主人公も周りの人々も囚われたまま終わったという印象。

久しぶりに登場人物の名が外国名の作品を読みました。外国名ってこんなに読みづらいものでしたっけ？？昔はオスカルやアンドレでも大丈夫だったのに(笑)名作だとは思いますが重過ぎて気分がどよーんとします。登場人物が日本人でもっと軽快な漫画の方が自分には合っていると思いました(汗)

ずっと昔タイトルを目にして気になりつつも長編作品なので手を出して無かった作品でしたが3巻まで無料につられて読み始め、7巻まで行ったとこで挫折しました。いかにも萩尾作品といった感じで、一昔前の文学的な作品が好きな人ははまるのだと思います。モーリスとか風と樹の詩とかそんな世界が好きな人だったら。正直途中までは面白かったです。愛する母親の幸せのために義理の父に壊され続けていく。間違って義理の父と一緒に殺してしまった母親は実は自分が義理の父にされてることを知っていたことを知りますますおかしくなっていく。いろんな人を巻き込んで結局彼は救われたのか、最後10巻だけ買いましたが全くわからず。気になるなら無料で途中まで読んで5巻位でやめとくのが正解かもしれません。

一巻の途中で断念しました。義父が下衆なのはもちろん、実母も精神的に弱すぎて母親として最低です。主人公が可哀想で可哀想で…。読者の精神を疲弊させる作品なので、体調万全の時に挑戦してください。私は『11人いる！』のノリが好きな人間なのでこの作品は辛かったです。この主人公、最終的には救われるのでしょうか？いつか再挑戦したいと思いつつ、精神的ダメージが大きいのでしばらくは読めそうにありません。

他のレビューされている方が言われているように、この作品に不快感を味わう方もいらっしゃるでしょう。しかし、この作品は人が犯す罪、そしてその罪に苛まれて生きる人が織り成しているので、サクサク気持ち良く読めるようなものにはならないのですよ...。漫画でも読むか〜と思って読める作品にはなっていないかも？(笑)しかも、萩尾望都先生ならではの詩的な描写が挟まりますから取っつきにくいかもしれません。しかしここでお伝えしておきたいのは、それでもラストまで読み終わったときは読んでよかった〜と思えることです。 長編ですが感情の機微が詩的に繊細にラストまで描かれています。名作だと思います。是非読んでみて下さい！残酷な神とは何のことだったのか読んで考えてみるのも楽しいですよ〜