薔薇だって書けるよ─売野機子作品集─
「楽園」誌上で鮮烈なデビューを飾った新人作家の初作品集。日本最大の創作同人誌即売会「コミティア」に初登場で読書会投票1位を獲得した「晴田の犯行」&描きおろし等含め計7本を収録。
(※各巻のページ数は、表紙と奥付を含め片面で数えています)
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エディターのおすすめ
雑誌『楽園 Le Paradis 第1号』で初めて読み、一気に引き込まれてしまった売野機子さんの短編作品集。
00年代後半、90年代後半、バンドブーム時代、そして200年前の日本…。さまざまな時代背景を反映した恋模様が描かれます。
どことなくなつかしい、「花の24年組の再来」とも形容される少女漫画のようなタッチですが、まるで懐古的ではなく、今この時代にこの線を選び取った力強さみたいなものを感じます。
そして、随所に散りばめられたモノローグがいちいちすばらしいです。
"「別に 飴を買うぐらい 買うぐらい こんな気持ちのまま わたし嫁に行く」とか、「泣きながら 月9のヒロインのようだと思って 逃げるように足を速めた」とか、それぞれの時代固有の切なさが詰まった一語一句に、ハッとさせられます。
中でも一番好きなのが、最愛のバンドマンを亡くした女の子の物語。「十年置きに「何もない時代だった」と 誰かが言う」で始まる三つのモノローグからは、各時代をつらぬく通底音が聴こえてきます。
ちなみに短編集の第2作、『同窓生代行─売野機子作品集・2─』も傑作です…!ぜひ読んでみてください。
(編集:星原|作成日:2014/5/7 )