唇は千幾百夜の擒
「彼を知っています」と、警視庁公安部に所属する高遠和沙はテロリストと接触予定のあるマフィア、アルベルト・ベントリーニの写真を見て口にした。そこには学生時代に留学先で出逢い、情熱的に愛しあい、手酷く自分を捨てた男の顔があった。いまだ彼への想いを捨てきれていない和沙だったが、上司命令で通訳として潜入捜査をすることになってしまう。しかし再会した彼は、和沙を覚えていなかった。アルベルトにとって、自分はとるに足りない存在だったのだと改めて気づかされ、傷つく和沙だったが……。
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