レビュー一覧

気になるところで終わってます。続刊期待してます

この作家さんの作品が結構好きなのですが、この作品はすごく上級者むけだと思います。私には、まだ早かった。

和風遊郭調教ファンタジー。公家の若君である王麻呂が様々な手段で身も心も調教されていきます。とはいえ、この王麻呂自身は運命に従順なので最後まで美しい人形のよう。物語は遊郭を取り巻く十右衛門、侘助、太助を中心に進んでいくので、王麻呂の物語として読むと消化不良で物足りなさを感じるかも。いっそ十右衛門と侘助の物語を読みたかった気もしますが、そうすると遊郭での濃厚な閨事の数々は描かれなかったわけで（木馬とか山芋とか…）。読みどころは、王麻呂、高貴な姫君、庶民の娘が淫欲の世界に堕ちていく様かと…。ただ、糖度ゼロです。エロスの世界を覗きたいときに。

山藍ワールド全開です。女の人も攻められてます。相変わらず容赦ないのですが、言葉遣いがリアル過ぎて、ちょっと笑えました。色んな意味で面白かったです。

レンタさんにはないのですがこの作家さんの「色闇」という作品が気に入ったので本作を借りました。でも本当にここのレビュアーさんの意見を総まとめな内容でした。コレは十兵衛の物語、玉麻呂に自我がない、侘助を見たかった。私もそのまんまの意見です。あれだけ見事に各登場人物の心情を江戸言葉で描いてられるなら、雲上人玉麻呂がガッツリと自覚しながら十兵衛に落ちていく様を読みたかったなぁー。特に新之介の前半の描写は気持ち悪いから半分くらいにしてでも。

セクシーなシーンの描写はさすがでしたが、現代語と時代語のバランスが惜しかった。 あとは王麻呂様側の心象や描写が欲しかったです

中々の妖艶さでした。少し時代語が難しい所もありましたが着物の柄から、使用している小物の描写が丁寧に描かれていて、文芸小説の風格も感じました。

道具攻めや強姦シーンも多々あり、そういうのがダメな方にはお薦めしませんが、山藍先生独特の時代性のある耽美な世界を味わうことができます。残念ながら、主人公の王麻呂にはほとんど自我というものが感じられません(翻弄されるのみ)。そのあたりが私的にはもの足りませんでした。