レビュー一覧

この作家さんがの持つ独特のテンポ感とストーリーの作り方が好きで本作品を購入しましたが、大正解だったようです。とても楽しむ事ができました。話は両片思いの2人の掛け合いで進んでいきますが、じれったさの具合が絶妙でやきもきさせられます。読み手にはあからさまにも取れる高木の主人公に対する愛情表現がすっかりずれて主人公に伝わってしまうところが、恣意的になりすぎずに描かれているのが良かったです。主人公も結構癖がある性格ですが、高木もなかなか一筋縄でいかない人間なので、ともすればありがちになりかねないストーリーが一風変わった面白い仕上がりになっていたのかなと思います。また、この作家さんの会話の描き方の上手さが生かされていて、自然と会話が聞えてくるようでした。言葉選びがお洒落で、間合いがすごくいいんです。唯一少し残念なのが表紙と題名かもしれません。挿絵はないのでどのような絵を描かれる絵師さんかは分かりませんし、髪の書籍の挿絵は素敵なのかもしれませんが、表紙絵に限ってみたところでは、少し暑苦しくて古めかしく感じてしまうかなと思いました。主人公の綺麗な顔はちゃんと見ると十分表現されているのですが、ぱっと見た印象は、色使いの為か、男、汗、におい、が先立ってしまいました。題名も、お話を読み終えると至極まっとうで内容に沿っているのは分かるんですが、第一印象は、硬くて生真面目な感じを受けました。卑怯者という語感が少し強いのかなと思います。内容は割りとコメディ要素もあるので、あと少しポップさがある表紙だともっと興味を持つ人も増える気がします。

受けの幼い不器用なツンデレっぷりが可愛かったです。受け、攻めともに年齢の割に精神的に未熟かなとも感じましたがその辺りの青臭さも萌えました。クズっぽい要素のある攻めに受けが一方的に攻められる展開が好みの方にはおすすめです。

どんだけ不器用なんだと思う受けだけど、攻めとの会話など2人のときには笑える感じだし、読みやすかったです。

真寛は人を言い負かしてしまう自分の性格を分かっていて素直になろうと頑張ったり全体的に可愛らしいです。涌沢があっさりしてるし高木が対人スキルが高いという設定の割に研修以外ではさほどそう思うシーンがなかったり、高木を好きな女性社員も思ったほど話に出てこなかったので全体的に軽めかなとは思いましたが、両片思いが好きな人にはいいかなと思います。

受けも責めも不器用。　上司のクズっぷりが際立ってました。

とても良かったです。最初は脅されて…なので苦手かなと思ったのですが、実は両片想いなので無理矢理感が薄く、むしろ萌えました。

こういった反発し合いながらも実は好きで…っていうお話が好きです。言い方がきつく、敵を作りやすい受が、酔った勢いで気持ちを吐露するところが可愛かった。恐らくそうだろうなぁという展開でしたが、読んでいて楽しかったです。

攻めも受けもめんどくさい回り道をしてようやく気持ちを伝えるんですが、最後はもう少し盛り上がって欲しかったです。

この作家さん2冊目の本でした。ますますファンになった。社会人物が好きなのに加えて、現実的な描写も良かった。どの辺からお互いに「男同士」なのに好きになったのか、当たり前ではないのだから詳しく書いて欲しくはあります。