レビュー一覧

ほんの少し、心を引っ掻かれる作品ばかりです。あの頃の・・・懐かしい痛みを感じます。彼女の短編集の中では、暗い感じの話が多く初めて二宮作品を読む方にはとっつきにくいかもです。ただどの作品にでも言える事ですが、メンヘラ的な女性とそれを可愛いと感じてしまう男性の２人によって二宮ひかるの作品は出来ています。

主にヤングアニマルで掲載されていた作品を集めた短編集。社会人におけるセックス込みの恋愛模様は似た立ち位置の作家がいそうであんまりいない独自の味があり、それが作者独特の魅力となっています。いくつかアニマルではなく女性誌のフィールヤング掲載の作品もあり、少し毛色の違う作品がいいアクセントです。ただ、一番インパクトがあり、どうしても記憶に残ってしまうのは作者唯一（だよね、多分。カバー裏とかのおまけ漫画除く）の四コマ「あしたの女王さま」です。あるいみ四コマギャグってそんなもんですが、くだらなすぎて笑えます。中途半端にあしたのジョーをパロるなっ！笑っちまっただろうが！えー、真面目な恋愛ものでは、ハネサラのプロトタイプ？とおぼしき単行本タイトルにもなった「復習のように」や、Ｈシーンもなくつきあうわけでもないのに最後心地よい風が吹いたような爽やかさで終わる「みじかいお別れ」なんかがおすすめです。

メンヘラでエロカワイイ女性とおせっかいで頼りない男性、どっちも二宮センセイの作品には欠かせないですね。