レビュー一覧

守と貴彦、そして守の息子である歩との3人暮らしを描いた短編が2つ。どちらも「いつまでも幸せに暮らしました」とはならない展開。特に、14歳の歩の気持ちを追った後半のお話は、本編での守と貴彦の会話が伏線となっており、名前を付けないできた彼らの関係の脆さが剥き出しに。貴彦の心の傷口の深さに歩は慄き、守は貴彦と2人で生きていく覚悟を深める。この先も不安と向き合い、乗り越えながら暮らしていくのでしょうが、少なくとも守をもはや「ろくでなし」とは呼ぶのは相応しくないかと。是非。