レビュー一覧

うちの元夫もアスペです。この主人公とまったく同じ言動をとり、心がパキッと音を立ててひび割れる瞬間が何回もありました。本文のとおりまるで宇宙人と話しているような、共感が得られなくて気が狂いそうになるこの感じは、経験者しかわからない辛さです。読んでいてフラッシュバックして辛かったです。楽しいことを共感したくて笑顔で話しかけて、返ってくる意味不明な答えに凍り付き、傷つくを繰り返す毎日でした。この題名の「笑えなくなった私」すごくわかります。アスペとわかる前までは「なぜ？なんでこんな反応？私の言い方が悪いのか？」と色々手を変え品を変え、共感を得ようとがんばりましたが、アスペは相手を思いやるという共感性が皆無だから、すべて無駄足に終わります。結婚前は他人なので、多少は気を使ってつきあえていたのが、結婚後、身内となった妻には、全く気を使う必要がないという思考回路だそうです。なので、「なぜ結婚前に気づかなかったのか」という自責の念もありましたが、立場が変わる結婚後に豹変するのだから、見抜けるわけがない。相手がアスペとわからないのだから、知識なんかあるわけもないです。多くは子供に遺伝し、そこで初めて研究して夫も発達障害だと気づくパターンがほとんどでしょう。この主人公もしかり。相手がアスペだからしょうがない、特性だからしょうがない。だから、私が理解して我慢するしかない。結果、我慢した側が病みますね。　いくらアスペに理解や知識があっても、毎日毎日の生活の中で「ああ、またアスペの特性が出てる・・・。」と傷ついて、心が凍り付くのを避けるには、この人のように離れるしかないですね。「楽しいね。」とか「大変だったね」などのたあいない会話がしたいのに、パートナーからの共感がまっっっっったく得られない生活。それでも結婚生活を続けている人は偉いと思います。

この奥さん、お辛かったでしょう。家族関係の構築にひとりで奮闘し、傷ついていく様子がよくわかります。夫の抱える課題は、悪意ではなく、確かに生まれ持った特性なのでしょうから、この夫の不出来な行動を責めるのは無意味。結局は出来るだけ早く、幼少期のうちに親がこの特性に気づき、適正な支援につなげることが、この夫のように、本人も家族も不幸にする大人にならないためには必要なのでしょう。母親からの遺伝的素因を思わせる表現もありますし、この夫もまた、正しく支援を受けられなかった不幸なひとだったのだと思いました。早期支援のハードルがもっと低くなり、啓発が広がることを望みます。

付き合っている時は気にならなかった事が結婚したら、とありますが、子供が産まれたことが大きいと思います。子育てでは価値観をアップデートする必要に迫られることが多いです。夫さんの発達障害の特性で価値観を変えづらかったのだとは思いますが、発達障害であろうとなかろうと、結局のところ子育てしていく中で夫婦の価値観の不一致が生じて、しかも夫さんにその価値観を変える、もしくは妥協する考えが無かったので離婚に繋がったのだと思います。主人公がもっと夫さんの特性を知ってたら、というコメントもありますが、子供の命や将来に関わる事について協力出来ない、話し合いも出来ない相手なら、離婚して当然だと思います。

イライラをわざわざお金出して買うような漫画でした。夫の特性は仕方がなくても、何とか相手と擦り合わそうとの努力が全く見えない。人と住む、妻帯する、子供を持つは無理。そして妻は耐えすぎ頑張りすぎ気付くの遅すぎ。悲しいけど、どっちもどっちな夫妻の感じがします。

作画がとても可愛いです。夫のエピソードはどれもこれもイライラさせられるけど、イライラをぶつけても絶対伝わらないのかと思うと主人公はほんとに苦しかっただろうなと思いました。この夫はいまどうしているんだろ？特性なので責めてはいけないのかもしれませんが、自分ならどうしたかなと考えさせられました。

うーむ。カサンドラ症候群がわからなかったので、勉強のために読んだ。夫婦間のことなので一概には言えないですが、嫁さんが夫の症状について無理解なだけに感じる。彼ら(といっしょくたにしてはいけないけれど)の性質は、自発的に言葉を発するのが苦手なだけで感情がないわけではないし、傷付いたりもする。感情と言葉の発動が非常に遅いだけ、表面に出せないだけ。どれくらい遅いかと言うと、一生発現しない可能性もあるくらい遅い。嫁さんのキャラは、言動から察するにチャキチャキした人なんだと思う。夫を好きになったきっかけが『変わったところ』だったはずなのに、自分の理想と違ったら『変わったところ』を愛せなくなっただけではないか。この本は、当事者の旦那さんには読んでほしくないわね。思いっきり笑わないのではなく、笑い方を知らない。または、物理的に笑えないだけなのに。旦那さんの人間性は善良なので、旦那さんのが気の毒に感じた。私の印象だけど、カサンドラ症候群になる人は思い込みが強く感情的になりやすい人に多いと思う。この悲劇のヒロインである嫁さんも、そういうタイプに見える。原作については。作画の人のが旦那さん的な人についての理解がありそう。デフォルメも絵も構成も上手くて、こういう原作付きエッセイものを描かせるには、画力が非常にもったいないと漫画好きとしては思う。イラストレーターのような作画完成度なのに。逆か？イラストレーターのような完成度だからエッセイものに重宝されてるのかな。その辺の事情は知らんけども、読ませる漫画力でした。

キャッチボールにならない会話、自分の事も自分で決められない相手に感じる恐怖、「そんなもんじゃないの？」と周りに言われてしまうしんどさ。それに名前があるのだと、主人公がTwitterで知ったようにこの本に教えてもらい少し楽になりました。ありがとうございます。

アスペルガーに関する知識や寛容さがこの夫婦にあれば、これ程酷いことにならなかったのに。ただアスペルガーやに限らず、結婚生活や家族の有りように、理想を強く求めるのもどうかと思う。それが破綻すれば、カサンドラ症候群はまた生まれてしまう気がする。

付き合っている時は良いと思っていた面が、生活をする中で受け入れられなくなる、気持ちはわかるしカサンドラ症候群はしんどいでしょうが、夫さんが悪い訳ではなく、持って生まれた気質でもあるから、難しいですね。