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レビュー一覧

総合評価
5点
5.0
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5点 5 1
4点 4 0
3点 3 0
2点 2 0
1点 1 0

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2023-03-23
評価点
5
和南大好きさん
Renta!で購入済み
※このレビューにネタバレが含まれています。 レビューを見る
ピアノをやっていた。いや…やらされていた。小学生の頃、つまらなく思っていたハノンの練習曲、チェルニーの何番も続く苦痛の教本。子供心に好きでやってる訳でもないのに何の意味が…と辞める事ばかり考えていた。練習もそこそこで先生の所に行って披露する。勿論、サボりはバレバレで褒められたものではなかった。そしてバチが当たった。中学生の後半に衝撃的な出会いをした音楽と、それを続けていきたい情熱が私の中に沸き上がった時、身体的に演奏家には向かない事実にぶち当たってしまった。元々、手が小さい、ずっと言われ続けてきたが、当時の先生は私がやる気が無かったので言及しなかった。手の小さい子は水かきの所を手術する事もあるそう…オクターブつかむのがやっと…死ぬほど練習を繰り返し、小指は外側に湾曲した。それでもオクターブ以上の連打はくるしかった。リストやラフマニノフを弾きこなすのに、人の100倍練習した。そして心が折れた。音楽と向き合う時、楽しみや喜びの裏に恐ろしい程の苦悩があった。情熱だけではどうしようも出来ない現実を乗り越えられなかった。勿論、手が小さい人でも乗り越えている人もいるし、音楽家も居ると思う。でも私は出来なかった…この漫画を読んでその頃の自分を思い、涙が出てしまった。その頃の私は子供過ぎて、もっと違う形で音楽を楽しむ事を思いつけなかった。今、年月が経ち、音楽は形を変えて共にある。考え方も感じ方も柔軟になった今だからこそ、出来る事があると思う。漫画の中の彼女は調律師の彼女に共にあり、まだ弾いている。彼女の音は聴く人を魅了し、心をとらえる。どんな境遇でも、彼女が美しい音と共に在る事を願う。そしてこの漫画の特筆すべきは、ピアノの調律について専門的に描かれている事。凄いの一言につきる。別の話の、宝塚の話しも内容が専門的。作家様に見識がおありなのでしょう。私的に☆5以上。