レビュー一覧

ストーリー中心でほぼ絡みは無し、そこが物語と合っていて非常に良かった。読み応えがあるのでBL小説の括りでは勿体無い。攻めザマァとは聞いていたけど、こういう事か。繰り返し読みたくなる作品。イラストも良かった。

文句なしに面白かったです！登場した時は、何だこのバカ王子は！と思ってしまいましたが、少しずつ彼の置かれていた境遇、バックグラウンドが明らかになり、懸命に努力して変わっていく様に、どんどん好きになりました！腹黒野心家な攻めも、受け王子の変化に戸惑いながらも、無くしていた様々な感情に揺さぶられ、影響されていく様にギュンとなりました！マルジンの存在がとても良きでした〜

中盤の盛り上がりで！あれっ、題名なんだっけ！？表紙、誰だった！？ってワックワクの歓喜が押し寄せた！！それぞれの心情を出し惜しみなくさらけ出してくれるので、こちらもいちいち色んな感情が・・・好い好い、全編シリアス路線なのがとっても好かった。愛情と軽蔑の匙加減、ギリギリで軽蔑のほうが勝ってるみたいで、大丈夫なんだろうかって心配になりましたわ。故に、出来の良すぎる彼の存在が有り難く、もったいなく、もっともっとあやつを苛めて懲らしめてもよかったんじゃないのかと。こうなると、始まりの物語も期待したくなっちゃうなあ！

本当に正しくおとぎ話。相手にとらわれているのは本当はどっちなのか、というお話でした。真実の鏡系の王道です。

BLっぽさは、ごくわずかで、人が立ち直る過程を描いたファンタジーでした。欲望渦巻く宮中で、主人公は、よく頑張った！

設定が少し六青みつみさんの「偽りの王子と黒鋼の騎士」に似てるなと思いました。受が超美人だけど我儘で傲慢で性格最悪な王子で、攻にも馬鹿にされ嫌われていたのが、ある日謎の鏡によって運命が変わり、性格も良くなっていって、最後には攻もメロメロにという流れが一緒です。馬鹿なのは、政治的な理由で必要最低限の教育も躾も愛情も与えられてこなかったからというのも同じです。違うのは「偽り…」の方は六青さんお得意の不憫受で受がこれでもかと酷い目にあってそれを攻が助けたり突き放したりして育て直すのに対して、こちらは受が自分で行動して攻をも巻き込んでいくというところです。どちらが良い悪いではなく、好みの問題ですね。不憫受に泣きたい方は「偽りの王子…」。攻ザマーを楽しみたい方は「気難しい王子…」がいいかと。両方読むのもお勧めですけど…

最高…！攻めと受けの関係性や言葉のやり取り、腹の探り合いなど好きな要素が全て入っていた。健気なだけでなく、前に進もうと努力する受けの成長物語としても面白い。ラストは泣けました。

運命に真摯に向き合うエセルの頑張りに涙が出てしまう場面がたくさんありました。そんなエセルの姿に複雑な感情を抱くオズワルドの姿にも。お互いの気持ちに気づかない2人にヤキモキしましたが幸せになってよかった！！小中大豆さんはとても好きな作家さんで、読み返す作品も多いんですが、この本もその一冊になりました。

王子がいろんなことに気づいた時から、自分を変えようと頑張る姿が読んでいても健気でかわいいです。攻めが自分の気持ちや王子の本当の姿にびっくりしながら、助けて寄り添っていく姿もステキでした。

なんて！なんて面白いお話なの！！　本当に久しぶりに寝るのも忘れて一気に読んでしまう程の面白さでした。明日朝から仕事だ〜寝なきゃと思っても読むのを止められず。鏡を見せられた後からのエセルの大きな変化に胸のすく思いというのか、すっきりとしていく気持ち良さ。素晴らしいお話でした。