レビュー一覧

安定してます。今回も面白かった。1冊とは思えないほどの読み応えです。一見ライトで明るい作品ですが、攻めの生い立ちを読んだところで、その暗さと業にゾクっとさせられます。標的にされた人は器がないと潰されて廃人にされてしまう。まるで悪魔なのに外面は100%良いので標的でない人は誰も気がつかない。自分の欲望を満たしてくれる相手に会うまでどれだけの人を潰してきたのか考えると怖いです。破れ鍋に綴じ蓋と作者さんもおっしゃってましたが、まさにぴったりと合う受けが居たからこそのハッピーエンドでした。

背景なんかはほぼ無いに等しいのですが、この作家さんは自分的に話のハズレがありません。今回も表紙だけ見て、絶対好きなやつ！と直感しました。

作者さん書いです。世話を焼く側焼かれる側のほのぼの感がいつも好きです。こんなに焼かれてもダメにならない強さと、焼く事が幸せすぎて行き過ぎる弱さ。肉体的なエロよりエロいかも、

作者買いです。すごーく簡単にまとめると「ものすごい世話焼きとものすごいめんどくさがりの方々のお話」なんですが、キャラクターを見る角度や言葉のチョイスでこんなにもおもしろくなるんだなーと惚れ惚れしました。相変わらずの独特な世界観・空気感・キャラクター作りで今回も唯一無二な作品だと思います。

読み始めはダメダメでものぐさな同期（ゆず）をひたすら甘やかすパーフェクト男子（創也）かと思っていたら… 創也の方が、自分の世話好き体質を完全に受け止めてくれる相手が居ないと生きていけないという、何とも不健康かつ不完全な男だったのですね。付き合う相手をことごとく駄目にしていってしまう人って居るのだなあ。ともすれば共依存に陥ってしまうところをここまで身の周りのことを委ねていながらも、自分を保ち続けていけるゆずこそが、創也にとってパーフェクトだったわけで。もうちょっとシリアスなトーンだったら“病み系”にもなりそうな題材ですが、そこは未散ソノオさん独特の絵柄と飄々としたやり取りで大丈夫でした。「割れ鍋に綴じ蓋」カップルだと作者ご本人も書かれていますが、まさに割れた鍋＋つぎはぎの蓋の運命で巡りあえた二人…お互いを見つけられて良かったね。お姉ちゃんCP共々末永く仲良くしていただきたいものです。

作者さん買いです。『タイラント』『お前でダメならもうダメだ』など、さまざまな癖(へき)とでもいえる心理描写を丁寧にあたたかい目線で描く作家さんです。BL的な萌えを求めると『？』となるかも知れませんが、BLの枠に収まらず『なぜ人は他者を求めるのか』を考えさせてくれる作品です。背景や絵が粗い部分もありますがお話の流れや台詞回しが丁寧で引き込まれるので、作画に拘って時間を掛けるよりはもっと違う世界(作品)を見せてください！という気持ちの方が勝ちます。登場人物も癖がありつつちゃんと自己肯定感があり、自分が変わってることは理解したうえで寄り添ってくれる相手が居ることの幸せさが溢れているところに癒されます♡あっさり読みやすいですが時間を置いてまた折々に読みたくなるので買って損はナシ！の星５です。

作者買いです。僕のミーちゃんの次くらいにお気に入りになりました！本当に、破れ鍋にとじ蓋ってこういうことだなー、としみじみしました。大変読後感の良い作品です！

この作家さんの作品は人の微妙な心の隙間というか、見ないようにしている感情をむき出しにするような、よくも悪くも気持ちが揺さぶられる気がするんですよね。最初の2〜3話でつまらないと思った方も最後まで読んでみたら心に刺さると思います。BLじゃないな。BLだけど。今回私はお世話係にちょっとやられました。

溢れんばかりのエネルギーを粘着型世話焼きに注ぎ込む木関と、死ぬほど世話を焼かれてもそれに溺れないでいられる野間との、奇跡的な出会い。タイトルの「パーフェクト」とは、どちらにとっても完璧なパートナーであるということですよね。スパダリの木関の寂しさや苛立ちを、究極のダメ人間のように見える野間が、実は一番よく理解してくれる。木関にとって、野間は心の安定をくれる稀有な存在なわけで、コメディタッチに終始しながら、底辺を流れるテーマにかなりの重みを感じさせるあたり、さすがソノオ先生です。

すごく粗い絵柄に見えるんですが、世界観と相まってオシャレに感じます。