うーん、上手い!アンソロジーのシャルルコミックスにそれぞれ読み切り掲載されていた短編集で次の5話が収録されています。『還らずの夏』…涙『不機嫌なつぼみ』…発情『咲き初めの焦燥』(『不機嫌』の続き)…オメガバース『いちばんしあわせ』…心中BL『All things I know.』…縛。短編なので「もうちょっと続きが読みたい」という感はありますが、どれも良く練られている設定&ストーリー運びで、ちょっと病んでて切ない(オメガバが一番明るい)。表題作『還らずの夏』は幼い頃から一緒に育ってきて永遠に共にいると疑わなかった二人の少年奈津と陽。奈津は事故死した後も幽霊となりずっと側に寄り添っているものの、自分には陽を支え抱きしめる腕も無い。変わらず愛し合っているのにお互いに縛られて2年前の17歳の頃から、一歩も未来に進めないでいる陽の背中を奈津が押すのですね。ラストぐしゃぐしゃの奈津の泣き顔が切ない…(涙)後の『ファザー・ファッカー(FF)』の下敷きとなっている『All things I know.』は一番印象的でした。明(メイ)がずっと片想いしていた親友マコトと女友達サエとの間に産まれた子真(シン)。明は赤ん坊が生まれる前に死んだマコトの代わりにサエと結婚し、義父として忘れ形見を育てていくという複雑な人間関係。真は明の事を父ではなく一人の男性として愛するようになるものの、明が変わらず愛しているのは亡くなったマコトで…という真にとっては切ない心情が英作文と共に語られますが、作者さんの後書きにあるようにこの英文と日本語文とのちょっとしたニュアンスの違いがとても面白かったです。この作品が気になった方は迷わず『FF』へGo!また『FF』を読む前に是非こちらから読んでいただきたいと思います。
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購入して気づいたのですが、短編集です。短編があまり好きではないので、正直しまったと思ったのですが、泣きました…。たぶんサンプルを読んだ方のほとんどが、この結末を予想すると思います。でも最後に陽を見送った奈津の表情と台詞に、涙腺全て持ってかれました…。たった30Pほどの物語で、結末も予想通りなのに、こんなに泣かされるとは!表情の描き方が素晴らしいです。その他のお話もオメガバーズや心中と、癖のある設定ですが、キレイにまとまってて、暗い気持ちにならずに読めました。7チケはお高めですが!3チケなら試してみる価値はあると思います!