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ある屍の恋
イザナミ伝説ゆかりの土地で、古くから奇妙な因習に縛られた里、鳴神──。その集落には、黄泉への道「ヨモツヒラサカ」に通じる「千曳の岩」があり、先祖代々、それを守りつづける「鳴神一族」が住んでいた。一族に連なる高校一年の少年、鳴神伏人はその日、仲間たちとともに千曳の岩の奥で肝試しをしていた、はずだった。ところが気がついてみると、頭上には満点の星々。肝試しのさなか、何かおそろしいことが起きた気はするが、まったく思い出せない。一緒に肝試しをした仲間の、黒一、若姫、大悟、火影、拆香とは無事に合流を果たせたものの、何があったかについては誰も覚えていなかった。さらに、各々の無事を確かめ合うなかで、六人は自分たちの体の異変を自覚する。見えすぎる星々、妙に遅く飛ぶ羽虫、やたらと間延びした音。そして何より、誰もが息をしておらず、心臓も動いていなかったのだ。やがて、ヴァンパイアのような生ける屍「ヨモツイクサ」になったことを理解した六人は、その宿命に従い、人の血を吸い、肉を喰らい、死者を増やしながら、市街地を目指す。そんななか、人を殺すことに疑問を抱いた伏人が、車椅子に乗った人間の美少女、暁ひなたに恋をする。ひなたを、食べたい、犯したい、という内なる強烈な欲望に耐えながら、仲間を裏切り、彼女と旅をする道を選んだ伏人。死者と生者の間に芽生えた許されざる恋の行方は……?
鬼才・梅津裕一が放つ、生死の境界を越えた究極のロマンスホラー!
(※ページ数は、680字もしくは画像1枚を1ページとして数えています)
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