お耳を拝借
不動産会社の末端の営業として働く青年、矢七は二十歳。仕事の実態は地上げ屋だ。見た目はきつい二枚目の矢七だが、じつは人情家の「顔だけ番長」。日々、地主や借地人のもとへ説得に出向くも成果はない。
そんなある日、疲れた矢七は地上げ予定の長屋の軒先に下がった『耳掃除いたします』の看板にひかれ、ついふらっと入ってしまう。出迎えたのは、和服姿で二十代半ばの植物系男子。耳掃除だけでなく特別なマッサージコースもあり、そのテクニックたるやまさに客を忘我の境地にいざなうものだった。いつしか耳掃除師に恋心を抱く矢七だったが、自分の職業を明かせない。だがある朝、自分の上司、それも幹部クラスたちが店にやってくる。この人に手出しをしないでくれ、と叫ぼうとした瞬間、矢七の目の前で信じられないような光景が展開された――!?
表題作ほか商業誌未発表の「お耳をお大事に」「お耳の小悪魔」も収録の傑作短編集!
※こちらの作品にはイラストが収録されていません。
(※ページ数は、680字もしくは画像1枚を1ページとして数えています)
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