窓辺のリノア

過去のトラウマに今も悩まされ「想像上の友達」のピートと旅するテオは、心に壮絶な傷を抱えながらも無邪気に笑う少女・リノアと出会う。一見正反対に見える2人の共通点は、どこまで逃げても自身にまとわりつく記憶とその苦しみ。そして偶然の2人の出会いによって、終止符が打たれたはずの過去の事件は再び動き出し……。
1990年代ドイツの田舎町を舞台に、現実と幻想、嘘と真実が絡み合う、ドラマチックヒューマンストーリー。【全199ページ】

リノア誘拐の容疑で警察に捕らえられてしまったテオ。留置所の暗がりは、閉じ込めていた過去の記憶の戸を開きテオを襲う。そして明かされる彼の"想像上の友達"の起源とは――。その一方でリノアは、テオに父親の姿を重ね始める。雨が降る夜、リノアはテオの滞在していたホテルの一室を屋根伝いに訪れるが、不意に足を滑らせてしまう。落下のさなか、リノアは父の死に関する重要な記憶を思い出して……。ドイツの田舎町に散りばめられた秘密と幻想。トラウマの傍らで感情が大きく波打つ、衝撃の第2巻！【全215ページ】

自身の過去を知る編集長と再会したテオは彼との会話の中で心の傷と再び対峙する。トラウマとなった噂と偏見、他者の視線。記憶を曖昧に歪ませた薬の存在。そして“空想上の友達”ピート誕生の理由。やがてテオは自分たちの中に旅の答えを見つけ、深い霧を彷徨い歩いた長い旅はついに終わりを迎え……。そしてそんなテオに共鳴するように、リノアも心の奥底に封じ込めていた秘密を露わにして――。ずっと癒えないままだった傷がふたりを繋ぎ、これから歩む道を照らす。ドイツの田舎町で窓に降り立った小さな奇跡の物語、ついにクライマックス！【全199ページ】