やがて、ひとつの音になれ

著者草原うみ

ジャンル：青年漫画
長さ：169ページ
4.7 （3人） 3

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作品詳細

著者草原うみ
発行小学館
ジャンル青年漫画:人間ドラマ/音楽
雑誌ビッグスピリッツ
レーベルビッグコミックス
紙初版日 2024年5月10日
レビュー
4.7 （3人） 3

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喪失が新たな希望を紡ぐ。音楽×青春物語

もっと、もっと弾きたい。
この気持ちを手放したくない。
大切な“音”と再び巡り会えた――
左手の奏者として。

「天才少年」だった奏は、
ジストニアという難治性の病により
15歳でピアノと別離する。
そして彼の中には
消えない悲しみだけが残った。

――7年後。
有名なピアニストに成長した
かつての友との再会から
奏は手放した“大切な音”と
もう一度出会う……。

「見つけるんだろ？
新しい音を――」

音楽を愛する彼らの青春物語。

（※各巻のページ数は、表紙と奥付を含め片面で数えています）

5 1 和南大好きプロフェッショナルとしてピアノを続ける事は難しい。そこを目指したくても、何かが欠けていると恐ろしく苦行を強いられる事になる。私は身体的に楽器を演奏する事には不向きだ。背が低く、極端に手が小さい…オクターブ掴むのも難しい。手の大きい人が一発でできてしまう和音の連打も私は100回以上練習しなくてはならない。他の人が難なくこなしてしまう事も私には出来ない…ただ、手の大きさだけで…凄く凄く悔しかった…リストやラフマニノフの楽曲も死ぬほど練習を繰り返し、手の骨格は無理矢理弾き続けたために歪に変形した。それでもなによりもピアノが好きだった…でもどの世界にも一握りの天才は存在する。すべてにおいての恵みを享受する圧倒的な存在。それを目の当たりにした時に心が折れた。自分の努力や情熱などなんなく蹴散らしてしまう天性。彼らが持つ崇高な輝き。…今、自分が音楽と向き合う事に意味はあるのかと…そしてピアノを弾く事をやめた。この漫画の主人公と同じ様に逃げたのだよね…ホント、凄く辛かった…でもこの主人公は一握りの天才だった。そこからの有無を言わさずの転落。死にたくなるほどの絶望感。才能のない私でも苦悩したのにと、彼の気持ちを思うと号泣してしまった。でもいいんだよ…思いっきり挫折すればいい。てっぺんから転がり落ちた先に必ず、成功したままでは手に入らないものを見つけられるから、きっとそれが自分の中で一番必要で大事なものになるから…それに出会った時に、今までの苦悩の意味を知るんだと思う。今、音楽は形を変えて私の側に在る。今だからこそできる事だと思う。他人が何と言おうと必ず自分の生き様に意味は有る。苦しみ泣けばいいと思う。才能に嫉妬して悶絶する自分も受け入れればいい。嫌な自分もさらけ出して、それでもきっと彼の側に在る。心温まる隣の親子、人の良い職場のジィさん、そしてかつてのライバル。彼に救いがありますように…心から願う。 2024-07-30 5803022 0 1 HCdC-a-v2 Ern5-%CF%C2%C6%EE%C2%E7%B9%A5%A4%AD-v2