魔都
『日比谷公園の鶴の噴水が歌を唄うということですが一体それは真実でしょうか』
──昭和九年の大晦日、銀座のバーで新聞記者・古市加十に話し掛けてきたのは、来遊中の安南国皇帝だった。奇妙な邂逅をきっかけに古市が皇帝の妾宅へ招かれた直後、彼の眼前で愛妾が墜死、皇帝は忽然と行方を晦ましてしまう。この大事件を記事にしようと古市が目論む一方、調査を担当する眞名古明警視は背後に潜む陰謀に気付き、単身事件に挑む──。
絢爛と狂騒に彩られた帝都・東京の三十時間を活写した、小説の魔術師・久生十蘭の長篇探偵小説。
初出誌<新青年>の連載を書籍化、新たに校訂を施して贈る。/解説=新保博久
(※ページ数は、680字もしくは画像1枚を1ページとして数えています)
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