アダム・スミスの誤算
有名な「神の見えざる手」により、自由主義市場経済の父、グローバリズムの最初の理論家と称されるアダム・スミス。しかし、『国富論』ならびにそれに先立つ著作『道徳感情論』において、スミスが真に批判し、憂えていたのは、貨幣経済の飛躍的拡大により「確かな基礎」を失いつつあった、18世紀後半のイギリス経済の「新しい現実」であったと著者はいう。そこから浮かび上がるのは、グローバリズムへの最初の警告者であり、また、国家に支えられた経済の安定こそ大切と考えた、「エコノミック・ナショナリスト」の姿である。
本書の目次は以下の通り。
●序章「誤解されたアダム・スミス」
●第1章「市場における「自然」」
●第2章「道徳の基盤」
●第3章「富の変質」
●第4章「徳の衰退」
●第5章「経済と国家」
本書は、スミス、ケインズという両巨人の思想を独自の視点で問い直し、グローバリズムの本質的矛盾と危うさを抉り出す意欲作の上巻である。
(※ページ数は、680字もしくは画像1枚を1ページとして数えています)
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