レビュー一覧

雑誌に掲載されていた頃より大ファンです。漫画界の星新一ですね。オフィス読んで今のコロナの時代のリモートワークを連想しました。SFに現実が追いついたのでしょう。

ずいぶん昔になりますが、雑誌に連載されていたのを毎回楽しみに読んでいました。後に単行本を買い、全部持っています。表紙はコミカルですが中身はけっこうシリアスです。一応の分類はSFになるのでしょうけれど、SFありオカルトありファンタジーありと、いろいろな場所を舞台にした雑多な話が収められています。ですからどなたが読んでも「おもしろい、感動する」という話と「これだけなの？物足りないな」という話とがあると思います。中にはハズレもあるけれど、全体としては読んで損はないという感想が多いのではないでしょうか。個人的にいちばん好きなのは第２巻の「三月の殺人」と第５巻の「マイ・フェア・アンドロイド」です。

所謂オムニバス形式という奴で描かれたオカルトから未踏科学までを扱った作品集。最近はこう言う知的好奇心を刺激してくれる作品は殆ど見ない。そう言う意味でも貴重な作品。作品が描かれたのは1990年代の初期であり、モノによっては2020年なんて既に過ぎた年が未来として描かれているし、シンギュラリティなんて言葉は影も形も無かった頃に、その問題を取り扱った作品もあったりする。当然ながら宗教にも触れている。或る意味描かれた当時の世相を反映しており、バブル絶頂期でありながら、その輝かしさに比例した闇も忍び寄っていたことが、読む側の力量によっては推し量る事が出来るだろう。トリビア的な面もあり、知的好奇心旺盛な人にはお薦めの漫画。個人的には八巻、九巻当たりが好み。

ショートショートまんせー。短編集ばかりですがとても奥行きのある作品ばかりです。大いなる申し子のようにシリーズになっている話もあります。是非読んで下さい。