レビュー一覧

すっっっごく面白かったです！色々な恋が成就するまでの短編が沢山入ってます(１話だけ違いますが)。１話１話短いのに、それぞれの空気感とか会話とかキャラも凄く良くて楽しめました。表題作のｼﾞｭﾃｰﾑ~一番好きです！このお話はその後が是非とも読みたい！エロは皆無ですよ。ヤマシタトモコさんの作品が好きな方はとっても楽しめると思います。

まるで小説の短編集を読んでいるかのよう。どれも小粒でぴりりと効いてる。ヤマシタさんは本当に言葉のセンスが素晴らしくて、会話のテンポも小気味いいし、何気ない日常風景もヤマシタさんの描くことキャラが話すだけで、とてもドラマチックになる。あーやっぱりこの方の描く話は好きだなーと再確認させて頂きました。私はカフェの話が特にお気に入りです！

やらしいシーンはありませんが、これから何かが始まりそうな話や、始まる前に儚なくも終わる話など、ステキな物語がギューギュー詰まってます。こーゆー街行くオシャレ〜な方々がフツーの人々以上に、一生懸命にちょいダメ気味な恋してるのを見るのはなぜだかたいへん気分が盛り上がりますね。ダメだったら取り敢えず一緒に泣こうか、くらいの応援をしたくなります。表題の職場や学生時代からのもちあがりではあり得ない、ユル〜い繋がり、『心はひとつ』。何だかワカル(笑)書籍の外側でも『心はひとつ』になっているはず。

短編集だから一つひとつは短いですが、どれも大切に抱えたくなるような温かいお話ばかりです。星が五つしかないのが歯痒い。カフェのお話の「心はひとつ」というシーンがツボで、思わずスクショして気持ちが凹んだら眺めます。もはや、読み手もカフェのお客さんの気分です。とにかく妙に引き込まれる作家さんです。温かい話が主なのに、ときどきゾッとするほど人の真髄の奥深くに触れるのが怖くて、ページをめくる手が止まらない。系統でいうと、お洒落な大人の恋の話多めで、ときどきホラーっぽい。エロは少ないので、ストーリー重視じゃなきゃ物足りないかもです。

鼻の奥にツンとくるような、日常に潜む切ないお話し。『恋の呪文は』はゲーマーが苦手でしたが、それ以外はどれも私は好きでした。さすがヤマシタトモコさんですね。『食・喰・噛』は特にとても現実的なラストで、胸が痛い。カフェの話の「涙が止まるコーヒーです」は思わず声を出して笑っちゃいました。ヤマシタさんの作品は、BLであっても出てくる女性がかっこよくて素敵ですね。『魔法使いの弟子』の女の子も、とても好感が持てました。

ヤマシタ先生の作品には大好きなのとそうでないのとあって（私は大抵、好きな作家さんのはどれも好き、ということが多いのですが・・・）、だからこそ、とてつもない奥深さを感じる作家さんです。さて、この本はどの話しも大好きです！！ヤマシタトモコ先生の天才的な台詞回し炸裂ですよ☆人間の心を詩的に、それでいて鮮明に映し出す天才だと思う。どうしたらこんなストーリーを思いつくのだろうと、ただの会社員の私には不思議でなりません。暗くなりがちな同性愛者たち（ここでは全部男性）の思いを、時にさらりと軽く、時に涙で、あるいはすごく切なく描いています。最後の”Once Apon a Time..."を読み終え、ヤマアシタ先生に強く懇願したくなりました。「どうかふたりをまた会わせてあげて？やっぱり、流れ的に別々の人生を歩くことになっちゃう？でも、できたらハッピーエンドにしてあげて貰えませんかね！？」と。しかし、この切なさが物語りを深くしていて、だからこそ話が光るんですよねー。でも、切ない。切なすぎるーー！。

(食・喰・噛)だけ切なくて泣いてしまいました。どうか加保さんに好きな人があらわれて幸せになれますように。

フツーに面白い短編集です。BLじゃなくても良いかと言われるとそんな事はなくてBLだから面白いんですが、思わずBLじゃなくても面白いと言いたくなってしまうお話達でした。特にカフェの…あの空気感はたまりませんよねと、他の読者と言い合いたい。

期待しないで読んだせいか？面白かった！アンニュイな映画を見ている感じ。BLものですが、いやらしさは皆無です。終わりが切なかったり、報われたり笑えたり、ある意味、日常を切り取ったテイストなのに、とっても非現実的。そこがこの作者の良さなのかなぁと思いました。何度でも味わいたいと思えました。ハッキリ明暗が分かれるストーリーが好きな方には少し消化不良が残るかもしれません。

登場人物のキャラが多彩で楽しいです。必ずしもハッピーエンドばかりではないけど読後感は悪くありませんでした。