レビュー一覧

独特です。面白いです。最後の一ページまで集中して読みました。男と女の体の入れ替わりと言う、稀でも無い素材ですが、「男と女の違い」の捉え方が典型的では無く、でもものすごく共感できる部分があります。体と人生が変わってしまったショックとかはあっさり短く飛ばし、もともと主人公達の持っていた周りに対しての違和感、孤独感、自分らしさの感覚がどう変わるのかにとても丁寧に描かれてる気がします。「女の自分が消費される」感覚を男の人が経験する所が素晴らしいと思いました。あと入れ替わった同士の二人の関係も面白いです。「性的な部分で葛藤」「喧嘩」「お互いの問題を解決してあげる」「好きになる」みたいに在り来たりな展開では無いので、これからが楽しみ。早く続編が出て欲しいです。この作者さんの他の作品に比べ、インパクトの強い笑いとか恐怖とか過激な部分は無く淡々な方ですが、独特で深く人間の元に入り込む世界観が好きな方にはオススメです。絵もシンプルで安定的。

大好きな作者さんですけど、中でも特に心抉る作品の一つ。何度読んでも号泣せずにはいられません。（あれ？私だけかな！？）別の人間に生まれ変わると言っても葉菜と正吾では全く違って、ある意味人生をやり直す正吾に対し、一度目の人生を冴えないおっさんとして生きることになる葉菜。お互いを奪い合い、混じり合い、もう戻れる身体はない。使い古されたようなただの入れ替わりの話にならないところは作者様の力量でしょうね。ホント、最後は素敵です。二人とも深く混じり合いながら幸せを掴むのだと思います。蛇足になるでしょうけど、作者さんのBL好きな私としては、最後まで救いだった「正吾になってしまった葉菜」に素敵な男性とめぐり会ってほしいと切に願います。

良かったです。内容濃くて読後疲労感を覚える程でした。休日にゆっくり読む漫画だと感じました。

今までの男女入れ替えファンタジーとは一線を画するお話でした。単なる中身の入れ替えでなく彼らの変容受容過程がとても丁寧に描かれて引き込まれました。読後にいろいろ考察する楽しみもあります。

おもしろかった！終わり方も好きです。珍しくない男女入れ替わりの作品で新鮮に楽しめたのはさすがヤマシタ先生だなあ。木根さん（中身葉菜ちゃん）がすごくかわいい。

やっぱりヤマシタさん。展開が予想できないストーリー。本当　独特な作家さんです。イケメンとか綺麗な女性とか書かなくても　ストーリーで魅了できちゃう。こわいものみたさ？的な。入れ替わりの話はよくありますが、もちろんH的なものもほとんどなく　こんなに大変な事態なのに　素直に人と接しまじめに生きる　元、葉菜ちゃん。みかけは　38のおじさんですが・・オシャレも一生懸命　同僚の手を借りながら吸収していく。そんな木根さん（元、葉菜ちゃん）に周りが　ぐんぐん惹かれて　ほっとけなくなります・・木根さん素直で一生懸命でカワイイ・・と。以前の木根は　葉菜の体になりモデルになり順風満帆のはずが・・生意気ワガママでちょっと敬遠されぎみ。そんなとき元、自分の木根さんをみているうちに・・・なんだか大事な感覚が・・。最後が　どうなったの？的な　もっと知りたい感じで終わってますが・・自分であって自分じゃない混ざり合った記憶。抗えない現実。お互いが受け止めていきます。

１巻はよかったです。この２人は元に戻れるのか、戻れないならその先をどう生きていくのか、とワクワクしながら読みました。でも主人公２人の関係性に収束していった２巻は微妙でした。入れ替わり現象には何の説明もないままで、２人が混じり合っているという話をされても、土台のしっかりしないところで屁理屈をこねられている感じで冷めてしまいました。

いわゆる心と体の入れ替わりモノだが、目の付け所が独特。「人格」を形作るものとは？に肉迫していて最後まで目が離せなかった。これまでの経験や生まれ持った性質の他に、入ってる「カラダ」に引っ張られる、という着眼点がとてもユニーク。奪い合い混じり合って「もう、元のワタシはどこにもいない」というのが何とも言えない切なさ。少女が入った中年男はほとんどゼロからのリスタートで軽やかに、冴えないオヤジが入った少女はそれまでの負けを取り戻す執念で喘いだり…この対比も鮮やかです。入れ替わりの相手を発見するのが「一年後」という設定が効いていて、反発・同情・嫉妬…がグチャグチャに入り乱れるのに、同志で身内、のようにもなっていく。その関係性の変化も面白かった。この作品は「混じった」赤ちゃんどうなる？のラストも含め全部、どこか逞しい。読後感が良いのはそのせいかな。

おもしろかったんだけど、入れ替わり設定が納得できませんでした。おじさんになってしまった少女と、それを知るとともに何故か記憶も共有することになってしまった勝ち気で強気な少女二人のちょっと不思議な友情物語を読んだ気分でした。おじさんになった少女はちゃんと少女にみえるんだけど、少女になったおじさんの思考が少女か、どうがんばっても少年にしか見えないのです。それに、山好きで野心も恋心もあって子供っぽくて客から指名される程度に優秀なメカニックが40目前にして結婚もせず子供も作らずあの風貌ってことがあり得るかな？冴えない風貌はなかにはいった少女の責任かもしれないけど。入れ替わり設定じゃなければもっと楽しめたかも。

マンガという非日常を描ける場で、人間の黒いリアルを描く作者さんは天才で変人ですね(誉め言葉)。時間が経つにつれ、ボディーブローの様に重くあと引く主人公の言葉達。なのに、急にさらりと終わり『？！』となり、何回も読み直す。面白い。