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前半は、本気で惹かれているのに持参金も付いてくる、とヒーローが何度も思ってるので、本気のセリフも空々しく聞こえるし、せっかくの愛もどこか薄汚れてみえる。たしかに100万ドルは大金ですが。後半、ヒロインが出奔してからの必死に探し求める姿は本物っぽくよかったです。ヒロインは超大金持ちなので、これまでも金目当ての人間は大勢寄ってきていた故にかなり用心深く、男に夢中にならずに29歳。だから初めて本気で夢中になったヒーローまで金目当てと知った時の怒りは、半分自分へ向けた憤りと情けなさでしょう。ヒロイン父は間違った愛の表現ばかり、ある意味、子離れ出来てない親。二人がもう一度ほんとうに愛し合えるようになったあとからエピローグにかけて割とページ数を割いていたので、なんとか辻褄があった感じ。しかし、前半のヒーロー『カネ、カネ』考えてる頻度がありすぎで、読んでいてイメージ挽回できず。(余談ですがコミック版無料部分読んで、絵が素敵なので惹かれましたが、シリーズの共通であるスパイに関わる人物数人の設定がめちゃくちゃに改変されていて呆然自失。いくらなんでもダメだろう、のレベルです)

ヒロイン父の毒親ぶりが相当酷いですね。ヒロインは自己卑下が酷く、自分が金で買われた、と思い込んだ中盤以降の激怒ぶりの凄まじさも自己評価の低さの裏返しなんだろうし、その原因となると父親からの精神的ＤＶを長年受け続けていたからだろうな、と思いました。でも終盤の父親との和解シーンは良かったです。あとヒロインと次作(シリーズ最終作)のヒロイン、エリーとの関係も良かったです。最後のエリーの節介の焼きっぷりから彼女がヒロインをどれだけ大事に想っているかが解るように書かれているのが良かったです。ヒーローは傲慢俺様男ではないし、悪い人じゃないんだけど、疑われる余地を作ったのは確かに過失でしょう。