レビュー一覧

手塚治虫氏の作品で、『陽だまりの樹』があるのを最近まで知りませんでした。このレンタルサイトで全巻読み、40年近く前にこのような作品が書かれていたことを驚きをもって知り、自分の不明を深く恥じています。実によく幕末の時代背景や世相や歴史的人物について調べられています。そして手塚治虫氏の祖先に当たられる手塚良仙の生き方が、よい面も悪い面も含めて生き生きと描かれ、同時にあの激動期に誇りを失うことなく、純粋に生きようとした武士の生き方を絡ませることで、実に魅力的な幕末の青春小説になっていると思います。第29回小学館漫画賞を受賞し、何回も舞台化されて好評であったのも、こうした歴史的背景の膨大な取材と勉強に基づく、しっかりしたあらすじがあったからでしょう。手塚ワールドの凄さを知らされました。村上もとか氏『JIN―仁』などへも影響を与えたと思います。

私が初めて読んだ手塚治虫の長編作品。幕末の時代背景と当時の医学技術の進捗、東洋医学と西洋医学の葛藤など、単なる幕末ものではない切り口に興味を持った。その中で、強い意志を秘め、時代の流れに逆らおうとするものの贖えない個人の無力さ、しかしそれを行動に移すことでの自己満足、異なった立場で冷静に見つめる目。フィクションであれ、いわゆる幕末の主人公だけが歴史を動かしたわけではないと思わせる良作。

手塚先生のご先祖漫画。手塚先生も医師であり、家系的には医者家系なのだとわかる。江戸時代の雰囲気をしっかり描いており、当時の医師や武士の日常が良くわかる。ある程度フィクションも交えているようだが、ストーリーとしても面白い。

すべての登場人物に共感が持てなくて読むのに疲れました。