レビュー一覧

古い作家さんです。(お亡くなりになられています。ご冥福を祈ります。) 子どもの頃大ファンでした。絵がきれいですし、なによりセリフのセンスが秀逸です。数十年振りに読み返して、美しい日本語に改めて感動しました。短編小説を読んでいるような爽快感が味わえます。

「金星樹」の美しさに目を奪われ、「一角獣の森で」のせつなさには胸がしめつけられます。萩尾望都先生の解説が読めたのもよかったです。

佐藤史生さんの初期の短編集でSFやファンタジーといった佐藤さんの想像豊かな世界観が味わえ満足する1冊でした。

一角獣の森が好きです。あの後一人で子供を守りながら暮らすのって辛いでしょうね。いつ発覚して父と同じ運命を辿るかと思うと。

「一角獣の森で」がいちばんひっかかり、また心に残りました。種を残せれば個人としての自分はどうなってもいいと言いますが、それが断種だけではなく（こちらはまだ受け入れられる）脳の改造手術まで…美男美女でロマンチックにつづられていくのでおとぎ話のようですが、とっても怖い話だと思いました。今も作者が生きていたらどんなに怖い話を描いていただろうと思うと残念でなりません。