レビュー一覧

終盤が酷いです。ヒーローの隠していた過去…12歳の子供とはいえ馬鹿過ぎるというか、薄っぺらくて作者都合が透けて見えるというか。そして解決方法がまた雑なご都合主義。シークの身内に対してでっち上げの殺人罪を付け加えて告発しようとして全く咎められないなんて。ヒーローの家族が死に追いやられた、程度にしか事情を知らないヒロインが「幸せになるために復讐を諦めて（彼女の兄を含む犯罪者達を見逃して）」としつこく懇願するのにも苛々しました。まあ結局、いろいろ都合よくうまくいくんですけども。全ての設定は恋愛の添え物、恋愛脳の男女のくどくどしい独白が続くだけの話でした。

色々な不幸を背負ったヒロインとヒーローの物語です。でも、どの不幸も彼らのせいではないのに、復讐、誘拐に人殺しと血なま臭い言葉が並びます。屈折した思いに駆られたヒーローがヒロインへの思いを知った時に……いつも反省（後悔）するのがヒーローってちょっと変じゃないの！？　と思いました。辛い過去があるのはヒーローなのに、ちょと逸脱した行動したせいで悪者扱いでは可愛そうな気がします。ヒロインに優しいハーレクインなので、ヒーローにも優しくして欲しいです。

華やかなジェットコースター・ロマンス、言い得て妙です。長編では無いのに、沢山の要素が詰め込まれています。一目で強烈に惹かれ合う情熱的な恋、愛してはいけないと思っても止まらない想い、復讐、古城に砂漠、実は純真無垢なヒロイン、女相続人とCEOとシーク、家族愛と愛するが故の自己犠牲。個性が有る脇役や過去の情景などの描写を最小限にしたり、お互いの切ない心情をうまくまとめたり、長くなりそうな話を簡潔にした感じです。若いヒロインが芯の強い有能な女性に成長する様をもっと読みたかったですが、話の軸は復讐に生きてきたヒーローがヒロインのおかげで目を覚ます様子でしょうし仕方ないです。展開の早さに初めは流し読み状態でしたが、読み終わったら面白かったと感じました。