レビュー一覧

よく「BLはファンタジー」と言われますが、今回も良い意味でそれをしみじみ思いました(注:いわゆるファンタジー作品ではありません)。前半は西田東さんには珍しい中世欧州っぽい時代物で、助修士と騎士が心を通わせるまで。後半は西田作品おなじみの上司(ノンケ)×部下。登場人物たちはそれぞれ負の感情や体験を内包しながらも生き様を模索し、最後には希望を見出します。そしてそれを読む読者にも明るい光を見せてくれます。ファンタジーという言葉を使いましたが、登場人物たちは地に足が付いていて鼻白むものではないので誤解のないようにお願いします。。あ、カッパはあの時代のあの辺にはいないと思う(笑)。でもちょっと失敗したのが、電子だと今回作者のあとがきが入ってなかったこと！Renta!さんで購入した西田作品にも入ってるのと入ってないのがあります。西田さんや山中ヒコさん等々あとがきも面白いので省かないでほしいです(--;

作者買い。この作者様には珍しい外国の時代モノが全体の3分2強。これまた珍しくラブシーンがないです。キスシーンすらない。なのにしっかりラブストーリーに仕上がっているのはさすがの力量です。後半のお話はお得意のリーマンもので軽くエロあり。男同士である必要がないのでは？と思うストーリーも多い中、この作者様の作品はしっかり男が男同士ならではの恋愛をしていて、そこがグイグイ引き込まれる一つの要因だと思います。作者様お好きな方には間違いないのではないでしょうか！

まだ購入していなかった作者様の作品を見つけて狂喜して購入。二つの作品が入っていて、時代も背景もシチュエーションも全然違うのに、どちらもゲイの悲哀や心の孤独が見事に描かれていて、しかし話自体は重くなりすぎす、いつもながらのクスッと笑えるコネタが散りばめられていて、ぐいぐいお話に引き込まれてしまいました。エロや甘いシーンがないのにここまで盛り上げられる作者様は本当にスゴイなあと感心してしまいました。

西田東先生のお話はとても面白くてちょっぴり切なくて大好きです。今回のラブストーリーはそういう描写がないし愛も囁かない。それでもこれは間違いなくラブストーリーでした。二人はこれからずっと幸せに暮らしていける未来があると信じてます。

ふざけているような箇所を要所要所に入れながらも真面目なストーリー展開。相手のことを思い徐々に好きになっていく過程が素敵です。

表題作と短編1本。どちらもこの作家さんらしい男くささが溢れてて素敵でした。とくに表題作はロードムービーを観てるような気持ちになれました。エロなしでも満足できます。

西田先生の描く表情が本当に好きです。その物語に生きる人々の感情の機微を繊細に表現されています。それが伝わって、心をグッと掴まれます。読後はいつも幸せなため息が漏れます。

絵にもストーリーにも素朴な美しさがあります。知らないうちに引き込まれました。良い作品だと思います。

この方の時代物を読んだことがなかったので新鮮でした。面白かったです。

表題作も良かったですが後半の中編が好きでした。所々フフッと笑えて印象的なセリフがあって切ない展開だけど最後は…という短いけど良作です。