レビュー一覧

地味というか、とても普通です。大きな山場も特徴もなく、エロはほとんどありません。心理描写は丁寧に描かれてるので「地の文で、BLの恋愛をじっくり読みたい」「攻めを想う受けの描写が好き」という方にオススメかも。執着攻めや「攻め→受け」にこだわる人には物足りないあっさり目のストーリーです。

気持ちの満ち引きとか感情の揺らぎをリアルに感じられて素敵でした。

初読み作家さんの商業デビュー作。高校同級生の再会ものなのですが、主人公の小坂も同級生の岡田も特に美形であったりスパダリだったりではなくとても地味な印象（容姿についての形容が少ないからかな）で、主人公の仕事（アパレルの営業）に結構なページ数を割いているのですが、仕事上でドラマティックな出来事があるわけでもなく上司や後輩が恋愛に関わってくるでもなく…何となくボヤけた印象なのですよね。書類上ちょっとしたミスをしたり、上司と仕事のアレコレをやりとりしたりというのはストーリー上必要だったんでしょうか？もうちょっと上司がグイッと出てくるのかと思っていました。同窓会で出逢ってから友情～恋愛感情が育っていく過程も、淡々と描かれていて（丁寧です）そこは”リアリティ“重視なのかもしれませんが、やはり最初から最後まで熱量が上がらずキャラの個性もあまり感じられずで、ちょっと単調に感じました。攻めの岡田も「映画館で号泣するほど感受性豊か、世話好きでしつこいくらい小坂に物を食べさせようとする」描写で「優しさ」を出そうとしているのでしょうが、いまいち男としての魅力が伝わってこない。（元彼の夏木の方がわかりやすいキャラだった）それで最後に「実はゲイ（攻め）なんだ」ですからちょっとズッコケました。

同窓会での再会から居心地のいい友達関係へ。相手が好きと自覚するまでの受けのじれったさがなんとも良かった。元彼と流されるまま関係をずるずる引きずってしまうのが賛否両論ありそうだけど、逆にそこが良かった。口が悪くて軽そうな元彼のことを好きだった記憶が残ってるんだろうなと思うとなかなか切れないのもわかるし、元彼が本気で受けを好きになったのが伝わってきて最終的にはいいキャラになってた。攻めも実はゲイだったのはややご都合主義だけど、最初から距離が近かったりその片鱗はあった(笑)それより攻め受け合致してて良かった。どっちも攻めだったりしたら最後のいいシーンでもめることになる…。

初めての作者さんでしたが、元同級生同士が10年ぶりに同窓会で再会して・・・というお話で、すれ違いながらも最後はハッピーエンドでよかったです。主人公の元彼がよい味を出しています。

ただの昔の同級生だったはずなのに急接近する気持ちは？。

初めて読む作家さんです、心情メインで焦れったさはあるけど読みやすかったと思います。