レビュー一覧

本当に作者のお名前通りドロリドロドロな作品集でした。まず、昔のお耽美本JUNEの扉絵や挿絵で使ってたような哀愁感あるレトロエロ、カラー絵が和色なのも洒落てて妖艶隠微でイイです。しかし結構グロくて、墓場や骨や毛虫なんかが哀愁漂わせて登場しますんで、大正昭和エログロナンセンスっていう感じでしょうか。作品自体もハッピーなものなんてなくって、倒錯的で全て結末がダークです。ミステリアスサスペンスホラーなアングラダークです‥‥でもそれがいいんです。それがドロ子の世界なんです。まあ、耽美好き＆ミミズゲジゲジ出て来いや！ってなアニキな姉さんでしたら気に入るんではないですかね！

何か縛りがあるのではないかと思うほど見事にバッドエンドばかりでした。メリバではなくバッドエンド寄りです。大抵は攻め(というのもどうなのか分からないですが便宜上)に葛藤らしい葛藤は細かく描かれることなく、結局堕ちてしまいます。受け(というのも略)は言動から表情の細かいところまで魅力的なキャラクターが多い分、攻めの軽さにはさながらモブらしさを感じました。ただ、『恋文』ではそういったところにも一歩踏み込んでいるかなと思います。一番最後に持ってこられたのはとても良いなと思いました。色使いも含めてイラストがとても魅力的なので、今後(あるといいな……)に期待を込めて☆4です。

長田ノオト先生の作品が好きな人なら、是非オススメしたいです。私はとにかくこの作者さんの絵とレトロっぽい雰囲気が好きです。ただ注意が必要なのは、描写が結構グロいです。私はグロいのもホラーもblも好きなので大丈夫でした。最初で最後のbl作品と言わずに、ホラー要素があってもなくてもいいので、もっとbl作品出してほしいと思いました。

ハッピーエンド皆無で背徳的ですが、私は後味悪くはならなかったです。あと、殆どのレビューにエログロとか、ホラーとか書かれていますが、私はどちらでもないと思いました。虫、殆ど出てきませんよ。エログロってほどでもないです。グロ苦手な私でもサラリと読めました。短編集だったからかもしれませんが。アッサリしてます。好き嫌いが別れる作品ではありますが、私は嫌いじゃありませんでした。個人的には『恋文』が一番好きです。

昭和作家様が好きですが、それらよりは柔らかい表現、現代のイラストタッチなのでとても読みやすいかと思います。昭和エログロナンセンスが理解できない方には少々ハードルが高いのかとも思いますが、山本タカト等好きな方にはオススメです。私はBL作品でこのような作家様に出会えた事が嬉しいです。

どのお話も綺麗にまとまっていて読みやすい短編集でした。全編を通して客観的な目線で淡々と進むのが個人的には好みです。退廃的ものはごちゃごちゃしやすいイメージなんですが、シンプルでオーソドックスな展開に好感を持ちました。ただちょっと盛り上がり、というかエグみに欠けるかなと。画力、ストーリー共に地の力は相当なものとお見受けしましたので、これから注目していきたい作者さんです。

いやぁ〜どれも皆さん歪んでらっしゃる(笑)でも、そこが良いんですよね。暗澹、災禍、淫猥、妖艶……それらが巧く調和した魅惑の世界がまさにこの本に凝縮されています。乱歩や久作が好きな私には合わない理由が見当たりませんでした。乱歩や久作と同じく単なるエロティシズム、グロテスクとはカテゴライズ出来ない作品ですね。男同士だからこそ滲み出る色気。狂った交わりから生まれる美しく、危うく、淫らな雰囲気。性行為にこんな耽美さを感じた作品はないですね。キャラクター達もこんな芳香のする世界にいたらそれは歪んだり快楽に溺れたりしても致し方ないです(笑)。脆弱な幸せにありついたキャラクター達、この作品にぴったりの結末だったのではないでしょうか。素晴らしい作品をありがとうございました。

冒険しようとして買ってみたけど。。。私には少し違った。

レンタで特集されていて、その広告のカット絵がとても素敵だったので読みましたが、短編集とはいえ一つの話が短すぎて内容の割に心理描写が無く日本昔話を読んでいるようでした。絵は綺麗だしどの話も昭和初期を思わせる素敵な設定で作られている分、がっかりしました。この作品ではじめて辰巳ドロ子さんを知りましたが、長編も書かれているならBLいかんは関係無く読んでみたいと思いました。

病み系が読みたかったので、レビューを参考にバッチこいくらいの強気で読んでみて、後悔しました笑。想像以上に病んでいて、気持ち悪い話が多いです。読み返したくないので48時間レンタルがあればよかったと思います。