レビュー一覧

本屋さんで見かけてずっと気になっていた本です。読めて良かった。作者も、その周りの人達も、本当に優しい人達ばかりなんだと思います。抗がん剤治療の凄まじさを、ほのぼのとした絵柄からも読み取れます。奥さんをとても愛していて、奥さんも作者さんを深く愛しているのが、じんわり伝わってきます。エッセイ以外の漫画も読んでみたいと思いました。癌をドラマチックではなく、等身大に受け止めた作者のお話です。男性も女性も一度読んでおいて損はないだけの知識も得られると思います。やはりお互いの身体をよく知り、気に止めるパートナーがいる人生は大事だと気づかされます。

題名はネコの話かと思ってしまうのですが（笑）、深刻な話をあまり深刻に聞こえない風にと言うのは、全編を通してのスタイルで、重い内容も必要以上に重い気分にならないで読み進めることができました。漫画的な絵のお陰で、辛いときの描写はむしろ淡々と状況を説明している感じに収まっているので、苦しんでいるシーンやむくんだりやつれたりした顔のリアルでグラフィックな描写が苦手な人にもハードルが低いのではないでしょうか。それでも表現が足りないということではなくて、逆に、ショッキングなリアル表現を避けた分、すんなりと心に入ってきて、気がついたら共感しているという感じです。当事者として、とても大変だったでしょうに、治療を通じて、何があったかとか、その時どう感じたのかなどを、第三者に分かりやすいように、漫画という表現方法ならではの手法で伝えてくれて、体験を分け与えてくれてありがとうという気持ちになる作品でした。入院患者仲間や周囲の方々を通したドラマ、それを通じて本人が気付いたことや考えたことを、作品を通じて疑似体験している様に感じました。物語を見たり読んだりして泣くことは滅多にないのですが、これは泣けました。悲しくてではなくて、その語り方に感動して。この作者さんは、ストーリーテラーとして本物だなぁと感じます。絵も独特なタッチで、安定したしっかりした絵を描かれています。これからも是非活躍して欲しいと思える作者さんです。

若くして突然の病。そこで感じる同室の人々の優しさ、体調不良で逆に感じるうっとうしさ、奥様の献身的な看病。いろんな気持ちがまぜこぜなってどうにもならないもどかしさに悩む様子が伝わってきます。

前から読みたいと思っていた本で、この度購入して読んでみました。実際にガンになった人でないと分からない治療しながらの生活や、人々との触れ合いが、優しいタッチで描かれています。内容がとても重いはずなのですが、かわいい絵柄と作者のやさしさが伝わってくるため、漫画の面でも気持ちの面でも、とても読み進めやすくなっている所が素晴らしいです。いろいろな意味で、読んでおいて損のない内容です。

絵柄もほのぼの、主人公夫婦もほのぼのしているので、重たくなりがちなテーマでも、温かくなるような作品でした。

絵が可愛らしいのでシリアスなところも重くなりすぎず読めます。看護師さんが秘密保護のため、亡くなった方を退院したと言うシーンはぐっときました。

ただの闘病記ではなく物語として非常に良く出来ています。様々な人が登場してそれぞれに人生があり、感情も移ろっていく。良くなる人、悪化する人、亡くなる人、それらの悲喜こもごもが書けています。禍福は糾える縄の如し、という言葉をなぜか思い出しました。私は母を肺腺がんで亡くし、入院していた時期にこの漫画に描かれているような経験もしました。家族は第2の患者というそうです。作者の奥さんも非常につらかったでしょうね。2人で乗り越えていく姿に不覚にも涙がこぼれました。

癌ではないですが、私も去年の夏休みに入院・手術をしました。今年の夏休みにも手術を控えていて、それをきっかけにこの本を読んでいます。家族や周りの患者さんや看護師さんたちの温かさが身に染みて、とても前向きな気持ちになりました。ありがとうございました。

めちゃくちゃ面白かったです。こういう病気のかたってそうなんだぁとか。キレイな話も、汚い話も正直に書いてあるので、勉強しながら、楽しみながら読めました。

ペリリューから来ました。作者様の苦悩の時代。命の厳しさや大切さにさらされてきたからこそ、次作に鋭さが増しているんだと思いました。病識を知るためにも、命の大切さを知るためにも読むべき一冊。