レビュー一覧

「ヒーローは地面２０センチぐらい掘ってそんなかに頭を埋めるぐらいの土下座をヒロインにしろよっ」っていうぐらいムカつくヒーローでした。誤解が解けたあと、ヒーローがもっと心からすまながってくれて、かつヒロインからもっと邪険にされればこちらの溜飲も下がったと思うんですが、ヒロイン簡単にヒーロー許しすぎ〜〜〜。

スッキリしない読後でした。ヒーローはヒロインが弟の死の原因だと信じて酷い言葉で傷つけますが、それはヒロインに惹かれている自分を許せないからで、全く不条理です。誤解が解けた時も、自分はあれほどひつこく許さなかった癖に謝れば済むと考えている勝手さに呆れました。自宅療養中も掌を返したように迫ってヒロインを怯えさせるし、思い通りにならないと見るや、２〜３日自分の牧場に帰ると言って出て行ったまま二週間以上連絡を断ってヒロインの悲しみを深める自己中さ。ご本人はしばらく離れてヒロインの心情をじっくり分析してたと言ってましたが、ライバルの出現で慌てて帰ってきてプロポーズとはお粗末ですね。全然スッキリしませんでした。あと、余談ですが足を骨折したら１ヶ月程度で普通に歩けるようにはなりません。３ヶ月は松葉杖とリハビリ生活で乗馬なんてとんでもない。いま現在治療中の自分にはあまりにも現実離れしたお話で、これもスッキリしない理由の一つでした。

ヒロインは強く誠実で心優しい素敵な女性です。その上とびきりの美人ときたら、ライバルが現れてヒーローをヤキモキさせる展開がもっとあった方がヒロインに対してひどい態度をとっていたヒーローにスカッとしたのになぁと物足りなく思いました。終盤、ヒーローのライバルになるかと思わせた隣人の牧場主とヒロインの元親友のお話「手なずけられた花嫁」が気になるところです。

この作家さんはヒロインをそれはもう理不尽にいじめます。ヒーローがというよりその周囲の住民で仲間はずれ的な環境を作ります。誤解が解けたり、本人の人柄に触れたりで、ヒーローもー周囲も180度態度を変えます。そこを醍醐味と捉えるか、わざとらしいと捉えるかで面白いかどうかに分かれるのでは。私は意外に好きですね。特に急に態度を変えられても不審がり、戸惑うヒロインの姿は好感が持てます。