レビュー一覧

孤独なヒロインを暖かな家族が包みこむようなお話しです。ヒーローは多少強引とはいえ常識的な好人物。ヒロインも一見自立したクールな女性ですが、何か可愛いんですよね。脇役も個性的ではあっても、嫌な人が全然出てこないので(ヒーローの頑固お祖父様も、後半では可愛くなります)、読後感が暖かい。クリスマスシーズンに読むのはぴったりの作品と思います。

ヒロインは美人で仕事ができて素敵な女性でした。でも、クライアントの幸せそうなクリスマスの家庭の雰囲気で子供の頃の記憶が蘇り、企画のプレゼンに到着早々失敗してしまいます。彼女のクリスマスの思い出に思わず涙してしまいました。そして、みんなが浮かれ騒いでるクリスマスには一人でホラー映画をみるのが楽しみというヒロインが微笑ましかったです。

ヒーローの実家が経営するスキーリゾート地のＰＲ広報を依頼されたヒロイン。愛のない家庭で育ち、家族というものを知らず、どんな時でも自分だけを頼りに生きてきたヒロインと、大家族の中で育ち、一度は実家を離れ実業家として成功したものの、赤字のリゾート地を立て直そうと実家へ戻ったが、家族同士のしがらみから思うように実績が出せないヒーロー。全く対極の環境で育った二人が、美しい雪景色の中で、戸惑い、感情をぶつけあい、理解を深めていきます。クリスマスを避けて、仕事のためにリゾート地にやってきたヒロインが、わずか1週間で考え方、感じ方がすごく変わっていくのが丁寧に描かれています。ヒーローは、大家族の中で生まれ育ったのですが、ヒロインの境遇を思いやり、他人と深く付き合おうとしない彼女に寄り添いますが、時には疑問を投げかけ、傲慢にグイグイヒロインに迫っていきます。やさしさの中にも、確固たる信念を持ち、自分の目的に向かって迷わないヒーローは、とても包容力があり素敵でした。ハッピーエンドとはわかってはいましたが、「こんなに素晴らしい男性を逃したら、絶対、後悔するよー」とヒロインにおせっかいしたいくらいでした。また、ヒーローの家族も一人一人が良い魅力を持ち、話を盛り上げます。ヒロインも最後は、自分自身で築いてきた殻を破り、幸せを見つけます。クリスマスにふさわしく、読後、幸せを感じる作品でした。ヒーローの双子の弟の話もあるようですので、そちらも読んでみたいと思います。

サラモーガンらしい、ヒロインとヒーローです。つまり、幼少期に傷つけられて異性と深い関係になれないヒロインと、いろんな意味で自信満々のヒーロー(笑) アルティメットホラーを持ってきて暗がりで観ていたヒロインとヒーローの場面は何度読んでもいいですね。

家族の中で苦労するヒーローと家族が居ないため苦悩するヒロインのストーリーです。ヒーローにとても共感できた作品でした。次回作と合わせて読んで欲しい作品です。

これはこの作品のヒーローの双子の弟の物語「忘れたはずの、あの夏に」の序章ととらえたほうが良い作品かと思われます。この作品を読んでおいて、弟のショーンの話を読んで。そしてまたケイラたちの話を読み返して・・みたいなことをしてしまいます。そして「スノークリスタル」という場所と人々に夢中になります。豊かな自然。愛する家族。美味しいお料理。そして愛するパートナー。幸せってってこれ以上にない。という満足感のあるサラモーガンの真骨頂。