レビュー一覧

作家さんが好きでシリーズ一作目を購入し、続きが気になり最後まで購入しました。内容は少し重いですが個人的には好きな内容です。ただもう少し安いともっと購入しやすいなと思いました。

ラストです。幼い頃の事件の全貌が明かされるわけですが、主人公ってそんなに責められるようなことしましたか…？遺族の一成の矛先が主人公に向くのは仕方ないとして、無関係な他人が強い言葉で罵るようなことは一切していないと思います。幼い子供ですよ？現実に同じような事件があっても、生き残った子供を責めるような非人間はいない(いても少数派で、言った方が責められる)でしょう。一般的には、保護者である主人公や一成の親が目を離してしまったことが最大の原因と判断されると思います。ストーリーの最大の要である事件があまりに理不尽なので、まったく説得力を感じられませんでした。あと、祖母の冷たい扱いというものを通り越した虐待も、いろいろ言い訳していましたが許せません。ありえないです。リアリティがなく、気分が悪くなる物語でした。

攻めも受けも両者共に、過去に囚われたまま辛さを抱えていました。周囲の人間も、抱えているものがあり、それぞれの気持ちがわかるし読んでいて切なかったです。可哀想受けは大好きだし、重たいストーリーをまとめあげていて素晴らしいなと思ったのですが、ちょっと萌えが少なかったように感じます。攻めが受けをなぜ好きになったのか、憎んでいる相手なのになぜ抱き枕にして安眠できたのか、など腑に落ちない点もあり。

シリーズ物で、全三巻です。とにかく受の境遇が可哀想で泣けました。そんな受の境遇を全く知らず、復讐のためだけで近づく攻。特に三巻は良かった。冷たいと思われていた周りの人間が、本当は愛情からくるものだと解り、全ての謎が証された時…また泣けた~攻の受に対する後悔も懺悔も必読です。

細かく星を付けるなら評価としては4.5かな。読み進めていく中で気になるところはいくつかあったけど、それでも３巻まで読ませるだけの文章力ってすごいと思うので。不憫な受けをご所望の方は是非！本当に健気で不憫で可哀想で、智之はこの先どこかに救いがあるのか？って感じなんですけど、色んなことが一気に智之の前で明らかになって、そしてちゃんと救われます。

今まで智之が知らなかった真実が明らかになって、お兄ちゃんもそうとう苦しんだんだなぁと辛くなりました。祖母の不器用さが筋金入りすぎて、ものすごく孫を想ってくれてたのはわかっても１作目から思い出すとやっぱりあんな言い方はないよなあとも思いつつ、それでも全力で守ってくれてたんだ、高島さんとの関係も後押ししてくれてハピエンで本当に良かった。生野さんも良い人だったし。弁護士の多田さんも、もう少しわかりやすく諭してくれたらなあ。幼い頃から罪悪感で押し潰されて無関係な人間から非難され自己主張できるわけもないんだし。色んな人が苦しんできたけど納得のいくまとまり方でした。怒りや恨みは時にはエネルギーに変えられるけど罪悪感は潰れていくことが多いのを身をもって体験してることもあり読んでいてすごく苦しかった。自家中毒の高島さんも痛々しかったけど最後の最後にようやく心から笑えた。良かった。