レビュー一覧

やむを得ず贋作を描いて逮捕されたヒロインと、その贋作を見抜けなかったことで激高して裁判で不利な証言をしたヒーロー。出会いこそ最悪ですが、けっこう早い段階で誤解が解けて、あとはどんどん惹かれ合って行く二人。急だとは思うけど、不自然な感じじゃなかったのは、ヒーローのお母さんの力が大きいかな。なんか自然でいい感じ。最後のヒーローをスキャンダルから守ろうとしたヒロインの行動にはビックリました。まさかそうするとは・・・と。結ばれた後にもきちんとページが割かれていて、幸せな気持ちで読み終えることができます。この作家さんの絵柄が良く合ってると思います。

冒頭、刑務所から出てくるヒロインが衝撃的ですが、事情があってしたことと、罪を償う意識がしっかりしてるので、健気な性格に応援したくなります。ヒーローも傲慢なだけじゃなく人間味があって、自分のしたことを自覚して罪悪感に悩むところもいいです。ヒーローのお母さんやお姉さん夫婦のキャラがとてもいい。こんな優しい人々に囲まれたヒロインは幸運だけど、やっと幸せになれるんだなあとしみじみ。読後感がとてもいいです。

最終的に少々出来過ぎな感じはあれど、まとまった話です。最初の悲愴感漂う主人公の表情や立場の背景からは、最後のハッピーエンドが想像も付かないとは思います。ヒーローのたたみかけるような意地悪な思い込みが、ヒロインを知れば知るほど溶けていきます。自分が必要以上にヒロインを追い込んでしまったという事を反省した時から、トントンと話の雰囲気が変化していきます。そこからはもうハーレの得意技という展開になり、待ってましたの幸せな世界へ…。異色な立場同士の恋愛を見たい方はどうぞ、都合のいい展開があるのは、多少目を瞑って読んでください。読後感は良いです。

ハーレクインでは珍しい、リアルな罪の話です。でも、罪を潔く認め真摯に前向きに生きようとするヒロインと、ヒロインの人間性に惹かれるヒーロー及び周りの人々の眼差しが優しく、読み手もヒロイン同様、懲役で冷えた心が徐々に溶かされて柔らかくなっていくようでした。ヒーローも己の罪を潔く認め、それからはひたすら優しくて、幸せな気分になりました。

遅いよヒーロー、有罪も服役も消せないよ、ひどいよ…ヒロイン凄くいい娘だよ。ヒーローの母ちゃんがいい人だよ〜ＴＴ

ヒーローの心の狭さに星−１（笑）だってそうでしょー、贋作を見抜けなくて悔しいからって、強引に服役刑にするのはダサいよー。

ヒロインの潔さに較べて、一応被害者のヒーローのちっちゃいことちっちゃいこと。ヒーローママの持つ溢れる包容力や寛大さは、ママのお腹の中に忘れてきたの？って言いたくなるようないばりんぼ。この物語の影の主役はママだろうな♪ラストのどんでん返しはイイ♪

ヒーローのお母様いい人〜素敵です。ヒロインも犯した罪を受けとめながら健気。ヒーローとのハッピーエンドをほっこりしながら読みましたー

罪の償いが本筋に絡むハーレは幾つか読みましたが、実刑を食らった（しかも女性側が）というのは初めてでした。ヒーローの証言が刑の裁定をそこまで左右したという設定にはちょっと首を傾げるものの、凄いインパクトで掴みは成功です。やむない事情で大金が必要になり、贋作に手を染めたという背景も、そんなに即時に儲かるのか？という疑問はありますが、お話としては受け入れられるものでした。小林さんの描く人物、特にヒロイン格の女性は常時憂い顔で薄幸そうなので、この原作のコミカライズにはピッタリだったと思います。淡々と進んで行くようでいて、実は激高し易かった？ヒーローや、相当に抑圧されていたヒーロー母上の結婚生活、スキャンダルを阻止しようとヒロインが取る行動など、かなりエキセントリックな要素がブレンドされているのが面白かったです。ですが正直、主役二人よりもヒーローの母上が魅力的。軛から解き放たれて鮮やかに開花するという意味で、ヒロインと併置される構造になっています。そして遂にはヒーローまで自由に。自分が本当に求めるものを諦めてはならない、自分を偽ってはならないというのがテーマかな。

ヒーローとヒロインの関係性が何とも皮肉なものでヒーローの過剰な警戒も理由を知れば納得。