レビュー一覧

下のレビューを参考にして、<表紙買い＋結末は期待しない>で正解でした。内容も悪くないし、主人公の二人も、共通の友人として出てくる人もキャラ的にはすてきです。エロいシーンがただエロイだけじゃなくて、ちゃんと二人の気持ちや相手に対するかかわり方の変化とともに描写されているのがほかのＢＬにはない特徴だと感じました。ただ、覚悟したにもかかわらず、結末のしょぼさには閉口…。作家さん、執筆の途中で何かあったのかと思うくらいです。続編書くなりなんなりして何とかしてください…。

BLというよりはML（メンズ・ラブ）と言っていいような大人の恋を描いた良作です。タイトルのように高くも低くもない恋の微熱に振り回される2人の男。10年前短くて濃厚な時間を共に過ごした同級生2人が、大人となって再会するのですが、そこで一気に恋情が復活することはなく両想いでありながら関係は常に一方通行の片想い。物語はゲイでありながら臆病で自分の感情を常に抑えようとする野田（罪悪感からそんな自分を責められたい、壊されたいという願望を隠し持っている）の「私」という一人称で淡々と進んでいきます。野田とは外見も考え方も正反対に位置するような若杉との間には、他のBL小説のようなドラマティックな展開は特に起こらないのですが、そこは37℃。熱く燃え上がり１つに溶け合うのではなく、微熱でゆっくりと交わっていく印象です。社会・結婚制度という枠組みの中で葛藤する野田が非常にリアリティを持って描かれていて、現実でゲイとして生きていく事の困難さを改めて考えさせられます。共に生きていく事を決めた二人ですが、問題は残されたまま決してハッピーエンドでは終わっておらず「なぜここで終わる？」「中途半端」だと感じた方も多いかもしれません。彼らのこれからが幸せなのか或いはそうでないのかは読み手の想像に委ねられている、結末をあえて書いていないのは作者さんのそういう意図だと私は受け取りました。決して胸がキュンとしたり主人公たちに萌えたりするような小説ではありませんし、何度も読み返すことは無いと思いますが（レビューも難しいです…）数々のBL小説を読んできた方にはお勧めしたい作品です。

表紙に惹かれてサンプルを読み、購入しましたが、期待を遥かに上回る小説でした。三十代の大人の恋愛『小説』を読みたい方にはお勧めです。と言うかぜひ読んで欲しい。一文一文に妥協がありません。こう言う小説が読みたかったんだなとしみじみ思いました。終盤どきどきしましたが期待を裏切らない結末で大満足でした。この方の他の小説も読みたい、と強く思わせる作品です。ＢＬを読まない人はこの作品を読めないのだなと思うと同時に、これはやはりＢＬでないと書けないものだったのだな、とこっちをすこしいきぐるしくさせます。

なんだか消化不良。終わり方が…納得できない。中途半端。続きないか探してしまいました&#128166;

皆さんのレビューにある様に、ＢＬでしか読めない心理小説でした。常識的な行き方から外れず、人目を気にして生きていく事は真っ当なことだから、野田の行き方は間違っていない。でも、この人の場合は余りに自分の性癖に対して罪悪感を持ちすぎて、痛みを望む様な背徳的な行為で自分に罰を与えようとしていたのだと思います。潔癖さの裏返しの様な行為に気付いていたからこそ、若杉は囚われたのかな?　終盤でこのままハピエンは無かろうと思っていたら、有りましたね。当然だと思います。奥さんに対して余りに不誠実だったから、利己的な野田には自業自得としか思えません。でも、私なりに想像するに、きっと野田は若杉の元に留まる事で、お堅いしがらみや何かを全部捨てる覚悟が出来たんだと思います。若杉なら包容力在りそうだし、かえって良かったね…って感じです。

はあ...読むのにとてもパワーが要りました。自分が穏やかに生きていくための世界が崩される恐怖のようなもの、それが恋なのかと、何となくわかりそうな気もするけど野田の性格が難しくて、めんどくさい。臆病で、薄情。でも、そんな単純な問題でもないからまだ何か起こるのかと常にハラハラしながら読んでました。色んなしがらみもあって、気持ちが定まらなくて、そんな野田に振り回されている若杉が気の毒でした。ここで終わっちゃうの？！っていう不満はあれど、この2人のようやく落ち着いた先はここまでが1冊としては丁度いいのかなあとも思いました。正直きちんとスッキリしたいですけど。ただ、2人の気持ちの面だけでいうと、ようやく若杉も寝顔を晒せるようになって、野田も1番大切なものがちゃんと固まってくれたのでそこは安心してよいのかな。あー、でも後日談読みたいです。

内容も良く、強く心の底で惹かれ合う2人が、魅力的で、感情の動きも丁寧に書かれていたと思います。2人には、これからも乗り越えなくてはいけない壁があり、明るい未来が待っているのか心配ではありますが、多少傷つきながらも、2人にで歩いて行ってほしいな、と思いました。30代の大人、こうどこか現実味のあるBLは、あまり読んでいなかったのですが、一度読み出すと止まらず、あっという間に読んでしまいました！

大人の恋の成就の話でした。傷つけ合って逃げてばかりだった利己的主人公が、本当の恋をして成長し人を愛せる強さを見につけていく過程が丁寧に表現されてて、切なさに胸を打たれます。めでたしでは終わらせず、作者の力量が発揮され傷つく予感が有りながら傍に一緒居る決意が素敵でした。

学生時代、惹かれ合いながらどうしようもなく別れ、１０年を経た大人になってから再びまみえ、大人だからコソのしからみを抱えつつ育んで行く大人の恋愛。さて、この後どうなるのか迄は描かれて無いので想像するしかないのですが、それも面白かったです。

受のめんどくさい性格の描写が上手い！攻と受、10年越しの再会を経てお互いに少しずつ変わっていきます。たまにある2人だけの世界でのほほんと平和な話ではなく、家族や友人などいろんな人達との繋がりを無視せずにきちんと書いてあります。30代だけどラブラブなカップルでした。