レビュー一覧

10年ちょっと前の作品ですが、松田さんにしては毒気が少なめ…軽めの男子高校生智鶴が悪友たちに煽られ付き合う事になった後輩の家で、彼女の腹違いの兄と出会いそのまま恋に落ちていくという話です。オラオラ系の迫力ある秋成に、兄のような憧れを抱きながらもだんだんと意識していってしまう過程と、彼女としてそれなりの愛しい感情も沸いてきた紗綾に対する罪悪感に揺れ動く気持ちは自然だったのですが「大切な妹の彼氏」としてきちんと距離を置いていたはずの秋成の言動がちょっと突飛で戸惑ってしまいました。車庫でいきなりHとはこれ如何に？文章はシャープでお上手なのですが「これって必要か？」と感じる部分も所々。（義母の紗織と何らかの関係があるような描写だったり、悪友同士がラーメン屋に行って1人のラーメンがなぜか忘れられてたり…伏線で後で繋がってくるかと思ったけどそれっきり）また三角関係という事で、ドロドロとした部分や修羅場が出てくるのか？と思いきや、二人の関係に気付いた紗綾がサッサと身を引いてあっさりハッピーエンドだったりとちょっと惜しいエンディング。あれれ？母娘を巻き込んだ愛憎劇が始まるんではなかったの？と肩透かし。奈良さんのイラストが含まれていなかったのも残念です。