レビュー一覧

大好きな作品です。以前は書籍で持っていましたが泣く泣く手放した一冊です。この作家さんの最近の作品のようにテンポよく進むお話ではないのですが、しっとりと耽美な雰囲気が良いです。昔の耽美ブームの頃の作風というかなんというか(笑)いや、言葉づかいとかホントよくかかれてますよ。勉強になります。ただ、イラストも秀逸だったんです！雪舟薫先生の耽美な絵が！それがないので★一つマイナスです。

昭和初期､深窓の令息の秘めた恋｡愛しているから全てが欲しい激しい愛と､愛しているから全てを包み込む深い愛｡まさに、おとぎ話-夢物語-うらやましい･・･こういう設定大好物なんで･.･.･ 。

この作家さんの「交渉人」「Ｎｅ」シリーズが好きで購入しましたが、これらのシリーズとは違ってかなり暗い内容でした。好きという自覚がなくて、拉致・軟禁・レイプ・・・。最後は誤解が解けてハッピーエンドだけど、無理があるような・・・。好きな作家さんだけど、この作品は読み返すことはなさそうです。

作者買いでしたが、小気味いいテンポのあるこの方の作品が好きなので、コチラの作品は執着、監禁で重いのでこの評価。

時代設定に依るのでしょうが、誘拐後の千早に両親含め精神的な支えを与える事が出来なかったのが元凶でもあると思う。一人息子なのに千早への対応が不憫でした。邦彦は長らく会えなかった千早について調べなさ過ぎだし、主治医でもある友人は千早と邦彦との仲を勘繰りながら放置に近い。３年で持ち直した千早は強し、と読了後の感想です。

素敵なお話しでした。まとまり過ぎてる感じもありますが。安心して読めると思います。