レビュー一覧

突然可愛い赤ちゃんを亡くしたら辛いですね。ヒロインは自分のせいだと心を閉ざし　ヒーローはそんな妻を見守っている。ただし言葉にはせずに……。その気持ちのすれ違いがヒロインの失踪になってしまいます。記憶喪失となってもヒロインは愛する夫との出会いなどは潜在意識の中に微かに……だからこそ小説に書いてしまった。ヒーローはヒロイン一筋で誠実な男性です。記憶を取り戻すきっかけがすごく辛いけれど、前に進むには良かったのですね。

記憶喪失の話はよくありますが、ここまでお互いの感情を丁寧に描いたものは少ないと思います。丁寧なだけに、ヒロインの頑なさや、再会した時のヒーローの気持ちがしんどかった。空白の時間をあたたかい家族と過ごせたことが本当に良かった。

結婚の破綻の原因は、ヒロインなのかヒーローなのか考えながら、ミステリーのようでドキドキしました。

ヒーローは一途にヒロインを愛していて、素敵な人でした。ヒーローが不器用で、想いがヒロインに伝わらなかったのがすれ違いの原因でしたが、ヒロインも自分だけが不幸だと思い込みすぎ。ヒロインは記憶をなくすことで、現実逃避しましたが、ヒーローは一人で悲しみに向き合うことになり、辛かったでしょうね。ラストにヒロインも気がつきますが、赤ちゃんは「私の」ではなく、「二人の」です。もっと早く気がついたら、悲しみを分かち合えたのに…。

愛情が深過ぎて哀しみに耐えられず、記憶を失ってしまうなんて。ヒロインの哀しみもヒーローの苦しみも読んでて辛かった。ハッピーエンドで本当に良かった。