レビュー一覧

わああ、すっごい良い作品を読んだ！惹かれあっていく過程がリアルで自然でした。受けと攻めの口語のモノローグ形式でお話が進んでいくのですが、そのモノローグが何とも子気味良いです。サラッと読めているようで、深みがあるために気づいたらじっくり読んでいました。変わった二人が、変わった出会いをして、変わった共同生活を過ごして、生まれたのは何の変哲もない好きという感情でした。じっくり寝かせてまた読み返したいです。

半透明もしくは不透明、ってゆーこのお話の印象。一穂さんの世界観は派手さはなくともキッチリ作り上げられてるし人の機微も絶妙に表されててそうそう都合良くいかない焦ったさにもリアリティを感じる、、んですが立て続けに数作読んだ今ちょっと食傷気味かも。どの作品も全く似通ったテイストではありませんがキャラがどーも薄味で共感ポイントが見出せず入りきれないことがしばしば。本作の草と麦も名前のインパクトは強く残るものの2人のどーにも浮き草的な感性にピンときませんでした。とは言ってもです、さすがの一穂さん、確固たる筆力で綴られる文章にスイスイ読めちゃいました。相当焦らされてから2人が結ばれる件は気分的にかんなり盛り上げられて「わーヤられた～！」って感じです(笑)

最近選んでこの方の作品を読んでいますが、まず外しませんね。めくるめくエッチ大好きという人には少々不満でしょうが。そして後書きにかえてショートストーリーを付けて下さるのでちょっとお得気分です。

うーん…「変わり者」設定が整を連想させる。だから麦が整に見えてきて非常な違和感を覚えました。こういう知らず知らずに惹かれあっていくストーリー好きなんですけどね。なんか「どこかで読んだ」感がひしめいて…。登場人物に現実感がないというか感情移入ができにくいところが一穂さんの作品にはあるけれど…。読者のそういう欲求不満を抑えてでも「これからどうなるんだろう？」というふうに引き込む力もお持ちなんですよね。そこが魅力でもあると思うのです。おそらくこの作品以降の「イエスか～」や「ナイトガーデン」（登場人物がきちんと生きていて、ナイトガーデンでは泣いてしまった）などに比べるとつたない感じはどうしてもしてしまいます。作家さんの若い（？）作品を楽しむ気持ちで読むと悪くないと思いました。

離婚歴ありノンケ攻め、バー店主受け。じわっと惹かれ合う様子を楽しむ物語。登場人物のちょっとした人間性とかエピソード最高だな。長屋飲み屋界隈の慎ましくゆるっとした雰囲気が心地良いです。

浮世離れした主人公の2人よりしっかりとした人間性のある金子が良かったです。

これまで読んだ一穂先生の作品は、会社勤めの人や学生が多かったので、新鮮な生活描写でした。お互いの呼び名が可愛かったです。

草と麦の人間性がいいな、と思います。ゆっくり話が進んでいくのも心地いいです。

初めて読む作家さんでしたが、会話のテンポがよくて楽しく読みました。細かい描写に深みを感じて、いいお話だと思いました。

経済的には自立している主人公が多い一穂さんの作品ではめずらしく、浮世離れした二人の恋の物語。おっとりと進む関係や会話もほほえましく、全体的に好みです。中でも一番好きなのは二人の同級生で恋のキューピッド？とも言える金子。中学の時はクラスのいじめられっ子のポジションだったのに、びっくりの成長を遂げ、口は悪いけどしっかり麦と草を支える彼の行動力に、読み返す度にじーんときてます。男に生まれたら、こんな人になりたいかも