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思ったよりずっと良かった。すごく面白かったです。恋人と喧嘩したヒロインに、ヒーローは成り行きでエスコート役になります。恋人よりも自分のほうがずっとヒロインに似合うというヒーローにヒロインは徐々に惹かれて行きます。ただ、女はバスみたいなもの、次のがまたすぐ来る。というヒーローはヒロインと結婚する気はありません。結婚はしないけど恋人でいようという感じ。これじゃヒロインも戸惑いますよ。元々愛していると思っていた恋人がいたわけですから。あの軟弱な恋人は似合わないと言い張り、「きみはぼくといっしょにいるべき人だ。そうだろう？そうなんだろう？」とヒロインにぐいぐいくいこんでいくヒーロー。恋人がヒロインから手をひけとヒーローに言われたことでヒロインが恋人と結婚することを決めたときのヒーローの言葉。「きみがつかみそこねたぼくとの未来を思い浮かべてくれ。ぼくとなら夜空の星さえうらやましがることもできたのに、きみはそれをすべて投げ捨てたんだ」。やつれていくヒーローが可愛い。何度もヒロインにこけにされた（誤解なんだけど）と思ったヒーローはヒロインの会社の株を買い始めます。でもヒーローの資金の出所は自社の自分の株。つまりヒロインが沈めば自分も沈むつもりで徹底的にヒロインに命がけのゲームをしかけます。ヒロインをとことん愛しているのがまるわかり。父親にまた裏切られたヒロインにヒーローに「自分の足で立ち上がれ」と言って去っていく。そして最後の最後で自分の気持ちに向き合うヒロイン。結婚は中止になります。結婚が破談になる前からヒーローは自分の屋敷内にヒロインへのプレゼントを建て、ヒロインを何がなんでも手に入れるつもりでした。ここまで愛されたら女性も本望でしょう。激しいヒーローとヒロインのハッピーエンド、良かったです。ヒーロー妹とヒロイン兄は意外すぎてもう少し2人のエピソードがあれば良かったんですが、でも面白く読めました。

実は漫画の方を先に読んでいて、気に入ったので原作も読んでみました。漫画とは印象が違い、主人公の置かれている立場がより明確に言葉で描かれていてそれはそれで面白く読めました。ハーレクイーンは漫画から入ってしまいますが小説も面白い。英語でも読んでみたくなりました。お話ではとくに、モデルとヒロイン兄とのエピソードが面白かったです。

読みながら絵が浮かぶ文章ってすごい。しかも先に読んだ漫画とは違う絵が浮かびます。ヒロイン、ブルネットだったんですね。猫が去ってふと孤独が押し寄せる瞬間とか、薄々わかっていた恋人への不信が明らかになる瞬間とか、そういう描写にも小説を読む楽しみを感じました。

マンガも楽しかったですが、原作もとても良かった。友人の代役になったヒーローがヒロインと出会い、最初はケンカしながらもお互いに理解し合っていく。ヒーローがヒロインを失いたくなくて強硬手段に出た為にかえって拗れてしまい、ヒロインが別の男と婚約した時のヒーローのぼろぼろな姿が人間臭くて良い。ヒロインに自分は強い人間なのだと気づかせるヒーローがかっこいいです。ヒロインを手に入れるのを全然諦めてなかったヒーローが微笑ましい。いろいろと画策する祖父もお茶目。マンガで楽しかったヒーロー妹とヒロイン兄のエピソードもやっぱり楽しかった。婚約破棄からのラストシーンが特に良いと思った。