レビュー一覧

冷たい夫が事故を境に記憶をなくすことで優しい夫に。ヒロインは戸惑いながらもそんな夫の側に居たいと願います。それが本当の姿ならそう思いますよね～。記憶喪失になってかえってよかったというパターン?なので無期限にする程では無かったですが楽しく読めました。

何度か読み返して思ったのですが、ヒーローはいつのまにか、親の責任より自分のやりたいことを優先して、妹の事故死を幼いヒーローの責任にして捨てたお母さんと同じことをしていたのでは、と思いました。辛すぎる過去から逃れようと何もかも思い通りにして「幸せだ」と思い込みたかったのに、予定外の子供が出来たので、わざと妊娠したと責任を妻にかぶせて冷たい態度をとるところが似ていると思うのです。ヒロインは狙われていることにも気づかず、近所のバツイチ男性の誘導に乗って離婚を決めるという、妻としての自覚が弱いところがあったのですが、ヒーローの事故による記憶喪失というきっかけで危機を脱することができたのは本当に幸運でした。記憶喪失のヒーローがヒロインを見る愛情溢れる表情がいいので、この表情を見る為に無期限にします。

妻や娘を省みない夫の離婚直前の記憶喪失。けれど夫は以前とは別人のように愛情深い表情を見せるようになる。戸惑うヒロイン。夫の過去には想像を絶する悲しみがあった・・・大人向きのしっとりとしたストーリーで、ヒロインの悩みや、記憶を取り戻しかけた夫との行き違いに揺れる思いもすんなり伝わってきます。夫との最後の対決で「僕がどんなにさびしいかわかるかい」という場面にはうるっとしてしまいました。

記憶を無くして苦しむ夫エイドン。離婚直前だったのに夫の新しい一面に惹かれて行く妻ジル。戸惑いながら二人がもう一度恋に落ちていく過程が良かったです。あと、作品タイトルと内容（エイドンのセリフ）がリンクしていて胸にズンと来ました。記憶喪失の類では、これが一番心に残っています。

辛い記憶を忘れてしまうというのはよくあるけど、性格優しくなるのはなかなか無い記憶喪失パターン。トラウマや幼少期の成育環境が悪かったにしろ、ヒーローの家族に対する言動は酷いし、ヒロインも鈍感で悪いところある。この事故がなければ、二人の関係は壊れていたんだろうな～。九死に一生を得るってこういう事なのかも！

とても良かったです。ヒロインの切ない心の動きが良くわかります。ヒーローの記憶喪失で人格も変わってしまったかのような変貌ぶりに動揺しますが、それも含めて彼なのだと。このヒロインだからこそヒーローも救われたんですね。

旦那さんが不器用ですね。幼い頃のトラウマがあるにせよ我が子に素っ気なくするのは許せません。奥さんの気持ちがよく分かります。

良かったです。個人的には記憶喪失の時のヒーローが好きです。そもそもヒロインに隠していた過去によって、距離を置こうとするから離婚する話にまで持っていかれるのよ！とイラッとしました。記憶喪失になってから関係が修復される話は良いですね。

切ないけれど、愛おしい。そんなお話でした。悲しい記憶ほど、心の奥底に残っているんですよね。ヒーローがずっと苦しんできたのかと思うとすごく辛かったけど、ヒロインには話してほしかったです。でも、愛してるからこそ言えないこともありますよね。最後、本当の家族になれて良かった。

何だか日本人のように冷めていて冷たい夫、人として自然な弱さやずるさもあるヒロイン、たぶん悪い人じゃないし悪い人になるのは回避できた隣人、どの人も身近に思えました。ストーリーも派手ではないけどよかった、邦題がストーリーに合っていて素敵でした。