レビュー一覧

酷い捨てられ方をしたヒロインが、頑張って生活を立て直したのはとても立派だけど、そんなに簡単にヒーローを許してしまっていいのか。。。と今ひとつ納得できず。十年は長すぎるかなー。

１０年前、婚約者のある身でヒロインと恋に落ちるが、ヒロインを捨てて、婚約者と結婚。すぐに破局するが、結婚により得たものの大きさを言い訳にして、ヒロインを忘れられない人生が正しいと思っているヒーロー。１０歳になった息子の為に、息子がいることを話す目的でヒーローに会いに来るヒロイン。話の前半は再開した二人の会話が素直じゃなくて、読んでいてイライラさせられる部分もあるけれど、ヒーローが息子の存在を知って自分の選んだ道が間違っていたことに気づいてからは、ヒーローの気持ちがよく表れていて、とても良かった。

捨てたことは謝る気は無いとか言ってたのに、子どもの存在を知ったら決断は間違ってたって何だか今更で好きになれない。後悔も我が子の成長を見れなかったことが1番で自分本位。結局自分の気持ちが第一なんだよねこのヒーロー。

最初、このヒーロー、自分の正当性ばかり考えてる嫌なタイプだなあと思って読んでいたのですが、我が子の存在がわかった頃から、あれ、この人、ものすごく苦しんで生きてきたんだな、と印象が変わりました。伯爵家を継ぐ義務が全てで生きてきたけど、心から愛したヒロインにした仕打ちを心の底では後悔してた。でも、自分の非を認めてしまうと、今までの生き方そのものの否定にも繋がるから、思い出すたびに自分を正当化して誤魔化してたんですね。幼い頃から伯爵家の跡取りとして滅私の教育を受けてきたのはしんどいことだったでしょう。ヒロインと可愛い子供達に囲まれて、自分が経験できなかった温かい家庭を築いてほしいと思います。

本当は嫌いなんだよ、シークレットベイビーは！！　でも不覚にも泣いてしまいました。自分の愚かな選択で失った時間を思い、苦悩し後悔するヒーローはハーレクインでは珍しいパターンでした。ヒロインが内緒で妊娠出産したことに対する非難めいた言葉はほぼないです（最初はつい文句のひとつも出るものなので、許せる範囲です）。高貴な身分に生まれたせいで人としての温かみを知らなかったことが、ヒーローの唯一の欠点でした。それを補うのが愛情深いヒロインの存在――失って初めて気がつくというのが、共に年月を共有できなかった悲しい現実につながります（でも、１１年は長過ぎます。やっぱりシークレットベイビーは切ないです。）

コミックよりは、内容の繋がりがわかり作品としては楽しめた。