レビュー一覧

東北地方の雪国の村に暮らす人々の日常の悲喜こもごもを鮮やかに描いていて面白かったです。作者の自身も東北の村の出身のためリアリティを感じられて良かったです。

矢口先生の実体験に基づく作品なんですね。日々のさり気ない暮らしぶりから、ちょっとした事件まで、興味深く読ませていただきました。郷愁…母の実家が農家でした。これ程どっぷり田舎ではなかったけれど、自然を相手に糧をえる人々は、その豊かさの中で慈しまれる喜びを知っている。人間なんて自然の猛威の前には無力だと知っている。

マタギの方が面白かったけど、これはこれで絶対に経験した当事者じゃないと描けないこと、かつ今は殆ど失われた田舎の暮らしがつぶさにわかるという意味では、民俗学的な価値はある漫画だと思う。

村に起こる、様々な出来事がリアリティに描かれていて、勉強になりました。

今から半世紀も前の作品だが、未だにみずみずしさ 魅力を失っていない。まず水墨画を思わせる雪深い山村の風景描写が素晴らしい。人物描写は風景描写のタッチとは全く異なっていてかっちりとした時代を思わせるタッチであるが、背景の風景との好対照を描き出している。移り変わる四季の日常描写を主体としたスナップ写真のようなストーリーもなかなかである。