レビュー一覧

受けは小心者でヘタレのくせに中途半端にいきがる大学生=俊也。とりたてて優れたところはありませんが無自覚で男を引き寄せるフェロモン持ちです。性格悪けりゃ口も悪い。強がるわりにすぐ流される。賛否わかれそうな受けですが、この年代の青年が抱え持つ鬱屈したコンプレックスはある意味等身大ともいえます。で、この受けを巡って、ある復讐を誓う謎のホスト=チアキ（攻め）と残忍で冷酷なヤクザもどきの実業家=渡辺（当て馬）が争うんですが、どちらも病的な執着を俊也に向けていて、俊也はどんどん追い詰められていきます。裏社会の抗争らしく、中盤から終盤にかけては残酷な描写も多々あります。俊也の初めてはチアキじゃなく渡辺に奪われてしまうんですが、その肝心のシーンがたった一行ですまされていて、思わずえええ？と二度見してしまいましたｗそこはきっちり文章で読みたかったなぁ…。一応ハッピーエンドですがすっきりした終わり方じゃないです。肝心の渡辺はノーダメージだし、愛しの俊也を奪われたと知ったら地の果てまで追いかけてくるでしょう。冷酷と見せかけて実は純愛一途なチアキも好きですが、個人的には渡辺の粘着質な執着っぷりのがツボでした。

この作家さんの話が好きです。なんかドロドロで少し恐怖が混じる。今回も期待通り、なんとも言えないドロドロさがありました。